第2話
あれから何も言わずに…
いや色々は言われるんだけども…
どうするのよって
今後について訊かずに
寝泊まりさせてくれてる.
飯つき.
マジで有難い.
通販で頼んだ,
白シャツとチノパンと靴が届いた.
だいたい標準.
だから,
よっぽど当たりハズレ引かなけりゃ
無難にいける.
十把一絡げ.
だいたい…
いつもそんな感じ.
即配って早いんだろうけど、
気持ち的には、もっと早くてもいい.
我が儘客か。
つか来るまで正直なんも出来んかった.
「あんた,余計な事しないでよ.」
ってママには言われた.
ネット上で俺の名前と自分の住所が残るのが
やなんだって.
コンビニ受け取りとかにすりゃあ良かったのか.
でも…
ハイヒール履いてウロウロ出来んでしょーよ.
もう,あっこ戻らんないし,
全部捨てられてるだろうなぁ.
眼鏡無いと不便。
ワンデーなんて、
ずっとつけてられん。
目がいかれるのは嫌なんだ。
これも落ち着いたら…
通販かな。
眼鏡やっすいの作ろっか。
見られる仕事は
良いもの身につけとかなきゃ駄目よ
って言われるか.
コートはママが貸してくれるって.
もう,あんたにあげるわよって
言ってくれてるから,
有難く貰おうか.
多分,いいやつ.
生地の肌触り良くて,
フードのフワフワは
マジもん.
素材見て,
同じようなもんネットで確認して,
値段に驚きたくないから
見ないふりする.
そんなの生きるための
常套手段でしょ.
俺が特別悪い奴な訳じゃない.
きちんと有難う言える
俺いい子.
あぁ…
そうだ…
買いもんばっかしてる場合じゃねぇわ.
働き口…
「ママんとこダメなの?」
「この界隈狭いのよ.
あんた客に手を出したんでしょうが.
どこも厳しいわよ.」
「だって…
引っかかるのが悪いでしょ.」
「引っ掛けるのも悪いでしょ.」
「はいよ…」
「あんた化粧は出来んの?」
「した事ねぇよ.
今そんなの自由でしょ.
してもしなくても.」
「…そうね.
でも,その言葉遣いは駄目.
私だって従業員養ってんのよ.
トラブルメーカーは雇えない.
景気次第でも,あちこちしわ寄せくるのよ.」
「俺,男無理ー.
あぁ,でもママ位綺麗だったらいいかも.」
「ダメンズは好きだけど…
誰でもいいって訳じゃあないのよ.」
「あぁ,それ前も聞いた.」
「それじゃぁ理解しときなさいよ.」
「聞いた事と心にストンと決まる事と違うでしょ?」
「こんの屁理屈坊やっ.」
屁理屈坊や…
屁理屈坊やって.ぷぷぷ.
だってさぁ,
どれだけ聞いたって,
体験したって,
自分の所にハマらないと,
結局
同じ事の繰り返しだよ.
全く分かってねぇ訳じゃないんだ.
知ってるけど,
出来ねぇわ.
まぁそんなとこかな.
ハイヒールしかねぇ 食連星 @kakumi
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