2014年4月25日(金)
2014年4月25日(金)
「ただいまー」
枕元に散らばっていた漫画を片付けていると、うにゅほと母親が帰ってきた。
「おかえり。映画、面白かったか?」
「うん!」
楽しげに頷く。
アナと雪の女王を観てきたらしい。
俺と弟も誘われていたが、ディズニー映画にはあまり興味が湧かなかったので断ったのだ。
たまには女同士で出かけるのもいいだろう。
「◯◯、そうじしてたの?」
「してたというか、しようとしてた」
ぐるりと部屋を見渡すと、本やレジ袋が隅に押しやられているのが見て取れる。
こまめに掃除機をかけてくれるうにゅほだが、整理整頓はあまり得意じゃないのだ。
「天気もいいし、布団も干そうかなって」
「いいかんがえですね」
「だろ」
どうして急に敬語なのかはわからないけど。
「よし、役割分担だ。
俺が片付けるから、××がそこを掃除する」
「わかった」
「ラジャーって言ってみて」
「らじゃー」
散乱していた漫画をあらかた片付けたあと、うにゅほの布団から干すことにした。
「──よっ、と」
敷布団を両手で抱え上げると、湿気防止用のすのこが顔を出した。
「すのこの下も掃除機かけないとな」
「うん」
掃除機のノズルを隙間用のものに替えながら、うにゅほが頷いた。
ベランダに布団を干して戻ってくると、
「──…………」
なんだか様子がおかしかった。
「どうかした?」
うにゅほの両手が、なにかを包むように組まれている。
「……なんでもないよ?」
「本当に?」
「うん……」
なにか隠してるな。
「そっか。じゃあ、俺の布団も干してくるな」
追求はしないことにした。
わざわざ隠すくらいだから、なにか理由があるのだろう。
「──…………」
ソファの上に畳まれている毛布と掛け布団をまとめて持ち上げたとき、
「……あのね?」
「ああ」
「これ……」
うにゅほが右手を差し出した。
なにも言ってないのに耐え切れなくなったらしい。
「──……落花生か」
「うん……」
節分のとき、テンション高めのうにゅほが撒いたものに違いない。※1
「まだあったのか」
「ごめんなさい……」
「謝らなくていいって」
苦笑し、落花生を受け取った。
「すてる?」
「もったいないけどな」
午後三時をまわったころ、布団を取り入れた。
今夜はよく眠れそうである。
※1 2014年2月3日(月)参照
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