2012年5月13日(日)

2012年5月13日(日)


母の日である。

せっかくふたりいるのだから、別方面からのアプローチを試みたい。

弟は弟で、勝手になにかやるだろう。

そんなことを考えていると、うにゅほが躊躇なく母親に尋ねた。

「おかあさん、なにほしい?」

か、確実だ!

絶対に外すことがない、という点で、非常にクレバーだ。

二枠あるのでサプライズ要素も失われない。

不二家のロールケーキというリクエストを承ったので、そちらは俺が購入することにした。

うにゅほにとって千円は、かなり大きな出費だろうし。

スーパーの母の日コーナーを見たが、お菓子ばかりが目についた。

ロールケーキとかぶる。

うにゅほに意見を求められたので、無難にカーネーションを指さした。

由来は知らないが、母の日と言えばカーネーションである。

「造花と生花があるけど」

「ぞうか? せいか?」

「造花は、作り物の花。枯れない花。

 生花は、生きた花。枯れる花」

「……?」

わかってないときの顔だ。

でも、わかってないなりに思うことがあったらしく、うにゅほは造花と生花を一本ずつ買った。

両方のいいところを総取りしたかったのだと思う。

けれど俺は、なんだか喉の奥に引っ掛かるものを感じていた。

選べないことと、切り捨てられないことは、同義である。

比較される苦悩を、一瞬ではなく、延々と与え続けることと相違ない。

それは、ある意味でひどく残酷なことではないか。

明らかに考えすぎである。

今日は飲み会だ。

存分に憂さを晴らしてこよう。


※追記

うにゅほの就寝時刻前に帰宅することができた。

俺の帰宅を待ってソファで寝ることは避けられたようで、よかった。

晩御飯は寿司だったそうである。

いいなあ。

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