2012年4月2日(月)

2012年4月2日(月)


父親に頼まれて、ビール瓶をケースごと売りに行った。

ビール瓶の買取なんて、まだやっていたのだなあ、と感心する。

中身が入っていないため片手でも持てるビールケースを、うにゅほと二人で後部座席へと積み込んだ。

リカーショップへ車を走らせている最中、ふと思いついたことがあった。

「ケース、一人で持ってみるか?」

うにゅほは、鼻息荒く頷いた。

ビールケースを車から降ろし、うにゅほに手渡した。

持てるかどうか心配だったが、なんとか歩けそうである。

第三者から見ると、少女に荷物を持たせて歩く非道な兄ちゃん以外の何者でもないが、まあいい。

リカーショップの店員さんも眉をひそめていたような気がしたが、きっと思い過ごしだろう。

ビールケースと十九本の空き瓶は、295円になった。

店員さんから小銭を受け取り、そのままうにゅほに手渡した。

「お疲れさま」

「……?」

「労働には、対価がある」

いいことを言ったつもりだったが、なんだかよくわからない顔をされた。

うにゅほは財布を持ってきていなかったので、ジーンズのポケットに直接小銭を突っ込むことになった。

歩くたびに音が鳴るのが、気になっているようだった。

今週のジャンプを買うためにコンビニへ寄ると、うにゅほが中華まんをおごってくれた。

俺はベルギーチョコまんを、うにゅほはあんまんを購入し、二人で半分ずつ食べた。

あんまんの舌への攻撃性を舐めてかかり、仲良くやけどした。

見た目や味で判断してはいけない。

やつはトガってやがる。

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