2012年3月30日(金)

2012年3月30日(金)


昼間、掃除をした。

PC本体の上に飾ってあったくまの雛人形をずらし、ホコリを落とした。

掃除機を片付けて部屋へ帰ると、すこし遠ざかっていたお内裏様とお雛様が、いつの間にか寄り添っていた。

うにゅほが位置を直したらしい。

当の本人は素知らぬ顔で、さけるチーズを食べていた。

手を洗ったか確認して、すこし分けてもらった。

夜、カリオストロの城を一緒に見た。

先週に続き、ルパン三世づいている。

カリオストロの城はいかにもヒロイックな作品で、うにゅほのツボにはまったようである。

有名なラストシーンのあと、面白かったかと尋ねてみた。

うにゅほは既にCMへと切り替わった画面を見つめながら、何度も頷いた。

「でも、なんでクラリスをつれてかなかったの?」

ああ、それは──

そこまで口にして、思い止まった。

俺にとっては、当然のことだ。

ルパンは他の作品でも活躍しなければならない。

クラリスは単発のヒロインであり、ルパン一味に彼女の席は存在しないのだ。

しかし、そんな約束事なんて、うにゅほには関係がない。

「二人で幸せに暮らしました」では、どうしていけないのかと、真剣に問うている。

俺は答えられなかった。

代わりにうにゅほの頭を撫でて、言った。

「俺も、そんな結末を見てみたいな」

寄り添ったくまの雛人形のように、仲良く泥棒稼業に明け暮れる二人の姿が、かすかに見えた気がした。

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