2012年3月29日(木)

2012年3月29日(木)


今日は作詞依頼をこなしていた。

音源を聞きながら譜割りを数字に起こし、言葉を当てはめていく作業だ。

全体の構成さえまとまってしまえば、一、二時間で終わる。

右手の指を折りながら、フンフンと鼻歌を鼻ずさんでいたのが気になったのか、うにゅほがディスプレイを覗き込んだ。

「……?」

小首をかしげて、俺を見た。

わけがわからない、という様子だ。

そういえば、うにゅほが起きている時間帯に作業をするのは、初めてだったっけ。

わからないのも、当然と言えば当然かもしれない。

ディスプレイが映しているのは、謎の数列が書かれたメモ帳である。

「作詞をしてるんだよ」

「さくし?」

「音楽に、言葉を入れてるんだ」

「……ふうん?」

あまりわかってなさそうだ。

うにゅほにイヤホンを片方渡し、ボーカルラインだけを抽出した音源を開く。

「この音に合わせて、言葉を入れる」

半分ほど完成した詞を見せると、うにゅほが言った。

「◯◯、うたって!」

う、歌うんですか?

たしかに、頭のなかでメロディと歌詞を合わせるのは、すこし聞きこんでからでないと難しい。

まあ、歌ったさ。

おまけにうにゅほの反応は芳しくなかったさ。

べつにいいけどね!

そこそこ納得の行くものが書けたから、俺は泣いてない。

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