2012年3月28日(水)

2012年3月28日(水)


弟がテレビの前で、うつ伏せに寝転がっていた。

馬乗りになって足の裏をくすぐってやると、弟の笑い声を聞きつけたのか、うにゅほが部屋から顔を出した。

「……ずるい」

うにゅほが不満顔で呟いた言葉に、軽く混乱する。

な、なにがずるいんだ。

うにゅほも弟をくすぐりたいのかと思い、席を譲ろうと立ち上がる。

しかし、うにゅほは弟の上に座ろうとはしなかった。

弟の隣で、うつ伏せに体を横たえた。

急かすように、足がぴこぴこと動いている。

そっちか!

うにゅほの思考は、時折想像の斜め上を行く。

まあ、しろと言うならば、やぶさかでもない。

体重をかけるのも忍びなかったので、うにゅほの腰の上にかがみ、左足を取る。

黒とピンクのボーダー柄の靴下は、新しいものなのでさほど汚れていない。

く、くすぐるぞ……。

許可を取ってそうするのは、何故だか妙に緊張する。

すれ違いざまに脇腹をくすぐったりとか、けっこうしているのに。

意を決して足の裏に指を這わせると、うにゅほは身をよじりながら笑い転げた。

笑い転げたあとで、もう片足もと催促するのだから、よくわからない。

最終的に俺は、復讐に燃えた弟と善意のうにゅほの手によって脇腹を死ぬほどくすぐられ、半死半生に陥った。

目尻に涙を滲ませ、ひゅうひゅうと細い呼吸音を鳴らしながら、思った。

ここまではやってないじゃん……。

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