宣戦布告をされたんだが?

「断る」

 たった一言俺はそういった。

「おやおやどうしたのかい? 世界を手に入れるチャンスなのだよ?」

 眼帯で目は見えないが一瞬俺は寒気を感じた。

「ロコ、少し協力してくれないか?」

「きすを断られたのは不満だが協力してやろう」

 ロコは両手を構え、紫色の光をまとう。

「いいだろう、僕と戦う気だね」

 どこからともなく現れた十字の短剣をオルソは両手に持つ。

 紺色の光を纏い、本能で危険だと感じる。

 目にも終えぬ速度でオルソはロコに斬りかかる。

 ロコもものすごい速さでオルソの攻撃を手ではじく。

 いやどうなってるんだよあの二人。

 空中で青と紫の光がきらめく。

 俺はリリーを結界の中に運び入れた後、詠唱を始める。

「魔力の根源よ主の望みを叶えたまえ 邪な者 闇の者 呪われし者 その全ての闇を払え ルアルエゾルシスモ!」

 手を上に掲げ、まばゆい光を放つ球体をオルソに放つ。

 さながら元〇玉のようである。

「あああああああああああああああああああああ!!!!」

 オルソは金切り声を上げる。

 オルソは黒い影となり、その場で爆ぜ、影があちらこちらに飛び散った。

「どうやら君を見くびっていたようだ。次会う時は全身全霊でお相手しよう。これより全ての人類とそれに味方するものに対して宣戦布告をする。また会おう」

 うわなんだこれ頭に響く。

 そう言い残して影は一つもなくなる。

 なんとかオルソを追い払うことができたようだ。

 だがまだ問題は残っている。

「いやだいやだ! きすするきすする!」

 駄々をこねるロコをエマは説得する。

「ロコ様は上位魔人なので人間の国でも堂々と魔法を使えます。だから無理にキスをする必要はないです」

 どうやら魔人は人間の国での目立った魔法の使用は禁止、上位魔人であれば危害を 加えない限り良いとされているらしい。

 さらに上位魔人は魔力の保有量の限界がくるのも遅く、特に魔力を体から出す必要もないのだという。


 そこから数十分ロコは駄々をこねた。

 最後はエマがロコに手作りのクッキーをあげ、なんとか帰ってくれた。

 「なんだこれおいひい! エマがクッキーをくれるのなあそいつをおそわない」

 クッキーをほおばった満面の笑みのロコを思い出し、俺は笑う。

 なにはともあれ今日はいろいろありすぎて疲れた。

「もう帰っていただいていいのよ」

「いやあんたこそ帰りなさいよ」

 いやまだ疲れそうだ。

 共闘して仲が良くなったと思いきや、まだ二人の間はバチバチと火花を散らしているように見える。

 オルソに宣戦布告をされているし、いつか魔王とかと戦うことになるのかな。

 今後のことに不安を抱きながらも、俺は自分の胸の高鳴りを感じていた。








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