第154話 妺喜が牢に入れられました
この世界では
またこの世界にも、現代日本にあるような懲役(※2022年に拘禁に変更となった)に似て、何らかの労役が課されています。これをこの世界の言い方で
妺喜がそこに座らされてからも
終古は代々
◆ ◆ ◆
同じ頃、
「でも
「あー‥‥ライクであってラブではありませんから」
子履が連日しつこいので、あたしはいたずらっぽくそう言ってみますが、子履はあたしの耳を引っ張ります。
「小学生ですか!?」
「小学生です!」
そりゃこんなことやらかしてはいますが、一応は前世基準ですと小学生ですからねあたしら。子履は10歳、あたしは8歳ですし。しかもこれは
一方の
「その『小学生』というのは、『前世』というものの言葉なのですか?」
あ、そういえば任仲虺にはまだ前世のことを説明していませんでした。うーん、ついでですし今ここで説明しましょうか、馬車の中なら盗み聞きされる心配もありませんし。
「今話しますか?」
「むう‥それがいいですね」
あたしといちゃいちゃできないと踏んだ子履はやれやれと椅子にもたれます。
「『前世』という言葉は、通常は
えっ、前世って宗教の言葉だったんですか。いやあたしも初めて知ったよ。いや前世日本ではいろいろな宗教がうまく日常生活に溶け込んでいる感じがあったから、知ろうとしなければ知らないことだったかもしれません。
「死んだ後、別の人に生まれ変わる‥‥ですか?」
「はい。その通りです。例えば
「でも、わたくしには生まれる前のことは分かりません」
「はい。生まれる前の‥‥前世の記憶を持った人は、非常に限られています。私と摯は前世の記憶を持っています」
そこからも子履が説明します。あたしに長々と説明するときと違って、このときの子履は相手がこの世界の人間であることをわかっているようでした。任仲虺も何度か質問しますが、子履は丁寧に答えます。
及隶はあたしの膝の上にうつっていました。あたしは及隶の頭をなでます。
「‥‥なるほど。前世で2人は同じ場所で勉強をしていたのですね。そして、そこで知り合って、女性同士として付き合い始めたと‥」
「はい。摯にはその記憶は残念ながらないようですが」
と言って、子履はあたしの手を握ります。自分の知らないところでそうだったことにされている気がしてあまりいい気分はしませんでしたが、その手だけは、よく分かりませんでしたが暖かくて、体の力が抜けるようなものでした。
「そして、この世界は前世にあった歴史書の内容とよく似ているのです。前世の歴史書にも夏という国があって、その前に三皇五帝の時代があったと記録されています」
「‥‥それでは、あなたたちは未来から来たということですか?」
「いいえ。確かに政体や社会は前世の記録とよく似ていますが、あのような立派な建物までは記録にありません。もっと粗末な建物であったと言われています。そして
「パラレルワールドとは何ですか?」
うへえ、そこから説明が必要なんですか。子履がはっきり、任仲虺にも分かるように丁寧に説明しているのはすごいなと思いました。隣から聞いても説明がわかりやすく、概念を持っていない人にも伝わりそうな内容でしたので、あたしは改めて子履のすごさに気づきます。まあ、たまにあたしの耳元に中国史をたらたらささやくのをやめてもらえれば完璧なんですけどね。
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