私くしの実話「お盆」奇譚
@7241
第1話
「お盆」とは 正しくは
「盂蘭盆会うらぼんえ」と言いい
7月13日~~16日までの
期間をいいます。
この期間に ご先祖様や
亡き近親者の「魂」が 帰って来るとされ
この魂達を 迎え入れ「供養」する「行事」
期間であります。
西日本
東日本 地域、土地により
13日の「迎え火」
16日の「送り火」
14~15日 仏壇前のお供え物、精霊棚など
お盆日期間、風習、法要、儀式は
様々であります。
さて
さて
西日本
「実家」の「お盆」は
日中、いつも通りのお墓参り
お仏壇には 少し豪華な お花とお供え物 。
お盆期間中は
各、親戚が お墓参り後に
実家へ寄り
仏壇へ手を合わせ
一緒に 夕食を囲むのが
実家「お盆」風景でありました。
東日本
母の実家の「お墓」は
「本家」と いくつもの「分家」の
大層、立派すぎる
広く大きな「お墓」が
墓地、一角を占めており
母の実家は 「本家」なので
それは
それは
お盆の儀式は 「盛大」でありました。
清潔な美しい仏間には
大きく立派な 「仏壇」と
仏壇前には
豪華な
お盆のみに用いられる
祭壇「精霊棚」があり
精霊様 への
「お迎え、送り団子」と呼ばれる
祖母手作りの
お供え団子が日替わりで盛られ
盆花
きゅうりの馬
なすの牛
分家親戚から 多量のお供え物が
所狭しと置いてあり
人の出入りの多さや
父の実家とは違う「お盆風景」は
子供の私の
目にうつるもの 全てが
お盆儀式をはじめ
「不思議」が 一杯で
好奇心が 刺激されたものであります。
その中でも
特に、ワクワク しておりましたのが
お盆の大切な「儀式」の一つに
「迎え火、送り火」というのがありまして
13日に
祖父は「 お盆、迎え送り火」仕様の
「着物」を 身にまとい
先頭は本家の主(祖父)が
盆提灯を持ち 歩き
分家の親戚達が、その後に続き
お墓参り後、お墓の前で 迎え火を灯し
提灯に明かり火を移し
その明かり火と共に先祖の霊を家まで導いて
帰ります。
その火を仏壇の蝋燭ロウソクに移し
お盆中火が消えないよう
常に見守るのが迎え火の儀式。
そして、お盆の最中
こんなことがありました。。
皆が 寝静まった頃
真夜中、珍しく
トイレに起き
廊下を歩いていると
祖父の楽しげな笑い声が
聞こえてきまして
雰囲気に誘われ
仏間のガラス戸から
そっと 部屋の中の様子を伺うと
祖父が
お酒を飲みながら 精霊棚の前で
着物姿の母と楽しげに
話しており
覗いていた私に 母だけ
気がついた様子で
私へ
ニッコリと微笑むも
眠さの方が勝り
声を掛けることもなく
トイレを済ませ
床に戻りました。
あくる日の朝に
母へ
「母さん、 着物姿で
お爺ちゃんと楽しげにお話ししてたね」
と 言いましたら
「なぁに?寝ぼけて!
部屋でずっと朝まで寝てたわよ」と 即答。
間違いなく、母の顔と姿だったが
他の泊まってる
親戚と見間違えたかも知れないとも
思った、、。
その晩は
祖父と一緒に入浴。
湯船につかり
気持ち良さげな、表情を浮かべながら
「昨夜は 爺ちゃん、お母さんと久しぶりに
話せて楽しかった〜」と
呟くように 独り言を吐く祖父。
それを聞き
あれは!
お母さん(祖母)と話していたんだ!
寝ぼけてて、やはり見間違いだと
心の中で納得するも
夕食後に
遠方に嫁いだ母が
今年は 帰省してるとのことで
姉妹の様に
仲良しだったという
親戚の 叔母さんが訪れた。
「最近、アルバムを整理する機会があり
懐かしい写真が出てきて
きっと 持ってないだろうから」と
一枚の古びた「モノクロ写真」を
渡されると
母は 嬉しいと喜び
私くしは、写真を見て驚く!
真夜中に 見かけた「着物姿で微笑む母」の姿が
そのまま写っていたのだ。
私は
「この人、お母さんそっくりだけど誰?」と
尋ねると
母は
「この人は 私の亡くなった本当のお母さんよ」と
言われ 母の過去を知り驚く。
母が 、5才の時、実母は
当時は 治らない病だった「結核」で
若くして2人の子を残し他界。
その後、すぐ祖父は
今の「祖母」と再婚
異母妹が生まれ
祖母は継母 で
母の妹は 腹違いの妹だと云うことを
知った夜でした。
さて
お話しを戻しますが。。。
祖父は 迎え火を始め
お盆の儀式一つ一つの意味などを
孫へ受け継がせるかのように
教えてくれていた
うちはお墓まで
必ずお迎えに上がるが
もし
お盆中、13日の迎え火に
家族が間に合わなかった時や
盆中、外出するご先祖様達が
道に迷わぬよう
いつでも
「盆提灯」の明かりを「目印」にして
家に帰って来れるように
お盆中は
盆提灯を玄関先へ飾りこと
祭壇の蝋燭の火を灯し続けなくては
いけないと教えられたものでした。
そして、、
私が、成長してから
気がついたことがあり
祖父は
孫の私を
目に入れても痛くないほど
可愛いがってくれまして
「迎え、送り火」の
儀式を仕切り
本家の当主である祖父が
先頭を歩く傍らには
祖父にギュと手を握られ一緒に
向かう私がおり
お墓前で 盆提灯への火移しの時も
一緒に やらせてくれまして
祖父が
「ご先祖様が いらっしゃったよ」と告げると
盆提灯の中の蝋燭の「火」が
自然に
「ポッ」と 灯るのであります 。。
祖父は声を掛けるだけで
何の動作もしません。
子供の私には
ごく自然な光景として
先祖様が来られた合図で
提灯の中の蝋燭へ火が勝手に
着くものだと認識していた。
その年、お盆帰省時は
「大型台風」が
西から東へ
徐々に 接近しており
強く吹き付ける風で
髪は乱れ、ボサボサに
物は飛ばされ宙を舞っていたほど
祖父の手に握られている
棒先の「盆提灯」も
激しく
風に煽られ
とうとう小雨も
降りだしまして
祖父へ
「お爺ちゃん、ご先祖様の火が雨と風で 消えちゃうよ!」と 言うと
祖父は 余裕のある口調と
笑いながら
「ご先祖様の火はね
消えないから大丈夫なんだよ」と言うが
雨は本降りとなり
風は強さを増し
取手棒の先で
提灯は、ビュンビュンと
強風に激しく
煽られ
提灯の空いた口から
雨が降り注いでいるのに
盆提灯の中
蝋燭の火は 弱まるどころか
大きくなり
ゴウゴウと燃え盛り
屋敷、仏壇の蝋燭へ火を移すまで
火の勢いは衰える様子もなく
消えることはなかったし
御先祖が、あの世へ帰られる日
「送り火」は
お盆中、灯し続けてきた
蝋燭火を
盆提灯の中の蝋燭へ火を移し
お墓まで
ご先祖様の霊を導き歩きます。
送り火の時は 「夕暮刻」から始まり
御近所の「送り火」盆提灯の灯りの列が
あちら
こちらから
お墓へ向かい歩き
幻想的で 綺麗な光景でありました。。
そして
またしても
お墓の前で 祖父が
「ご先祖様が帰られるよ」と
告げたと同時に
スーッと 自然に盆提灯の中の蝋燭火が
消えるのです。
勿論、祖父に
火を吹き消す動作もなく
台風は去り
風はやみ
夜空は雲一つなく
お月様が輝き
とても
静かな夜でありました。
大人になり
盆提灯の中の蝋燭の火は
着火しない限り
自動的に
蝋燭の火はつかない
消す動作をしない限り
火は消えない事を
知った時
祖父と一緒にした「迎え火、送り火」で
見ていた現象だとか
真夜中の
「女幽霊」は
亡くなった母親で
本当の祖母が孫に顔を見せて
くれただけのこと、、。
「お盆」になると
母の実家で起きた
不思議な出来事が
懐かしく
思い出されてます。。
「お盆」といいますのは
地獄の釜が開き
「あの世」から「この世」へ
ご先祖様
近親者様
よからぬ者までもが
「帰省」や「徘徊」を
されているようであります!
私くしは
お盆の期間中
どこに、いても
あの世から帰省されている
幽霊様と
多く遭遇しますゆえ、、
もはや
「お盆」という「行事」の
「催しもの」の一つだと捉え
ま、夏の風物詩、スイカを食べる
感覚で有ります!
(完)
私くしの実話「お盆」奇譚 @7241
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