春先になると、弟は決まって体調を崩した
春先になると、弟は決まって体調を崩した。多忙な父は研究所を離れられない。学舎に届を提出し、僕は部屋の扉を開けた。
「調子はどうだ」
青白い手が僕の指先をにぎる。
「ごめんね。……兄さん」
「気にするな。もう少しあたたかくなったら、ベリーを摘みに行こう。一緒に父さんの好きなジャムを作ろう」
2023/3/19
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