本来ならば、此処に立っているのは優秀な兄のはずだった

選ばれた生徒のみが立ち入りを赦されるスクリプトリウムは、地上とつながる唯一の聖域だ。写字生たちは、定められた書を開き、一心に言の葉を記す。

(どうして、僕が選ばれたのだろう)

本来ならば、此処に立っているのは優秀な兄のはずだった。

「君、本の聲が聞こえるかい」

「声、」

「そう。聲だ」


2023/3/6

スクリプトリウムの少年たち

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