のろわれた両の手をやさしく包み込んでくれたのは、兄だった

のろわれた両の手をやさしく包み込んでくれたのは、兄だった。

お前はりっぱな聖術師になるよ、と微笑んで、悪夢が去るまで傍にいてくれた。弟は、聖杖の代わりに、魔術書を選んだ。淡い藤色の瞳が、一瞬憂いに染まる。

「すまない。俺は、……そちらにはいけない」

「わかっていたよ。お前は聡い子だね」


2023/1/11

その星の名はクロリス

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る