金盞花は砕けたはずの指先をぼんやりとながめていた

「……大丈夫?」

凛とした声音が少女を現へ引き戻す。夜は始まったばかりだというのに核の調子がおかしい。

「薔薇、なの?……いきてる」

「おかしなことを言わないで。授業に遅れるわ」

金盞花は砕けたはずの指先をぼんやりとながめていた。

「今日は貴女の好きな星物語よ」

「ねえ、君は、本物なの」


2022/9/14

花ねむるサナトリウム

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