にんげんとは、ひどく、もろいいきものだった

地に足をつける。ぐらりと重心が傾く。

空を泳ぐ翼も、鋭い爪も、身をまもる焔もない。にんげんとは、ひどく、もろいいきものだった。

「だいじょうぶ?」 私をのぞきこむ少年の、青に染まる睛は、暗闇に浮かぶ星標のようだった。知らないぬくもりに身を震わせる。

「問題ない」

「もう少し、歩いてみよう」


2022/8/3

その星の名はクロリス

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