貴方はシリウスね。おとぎ話を何度も読んだわ。私の王子様

まるで鏡を見ているようだった。澄んだ碧の瞳の少女は、カノープスとよく似ていた。彼にきょうだいがいたなんて、知らなかった。

「……君は」

「私は金盞花。森の奥のサナトリウムで暮らしているの」

柔らかな手がシリウスの頬をつつみこむ。

「貴方はシリウスね。おとぎ話を何度も読んだわ。私の王子様」


2022/5/20

星満つるギムナジウム

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