けれど、口元に浮かぶ笑みは、少年の方がずっとあまやかだった

少年の指先が少女の黒髪をすくいとる。碧の睛は同室の金盞花に似ている。けれど、口元に浮かぶ笑みは、少年の方がずっとあまやかだった。

「はじめまして。僕はカノープス」

「……あなた、何処から来たの」

「朝と夜の狭間を越えて君に会いにきたんだ。御伽話みたいにね」

「あなたが、私の星なのかしら」


2022/5/21

星満つるギムナジウム

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