碧い瞳の少年は、人形がよく知る人物の面影を、色濃く残していた

人形は、ただ眺めていた。

"彼"の心臓と等しい核を抜き取られてからというもの、記録にはノイズがまざるようになった。人形師たちは次々と月の呪いに蝕まれ、やがて人形を管理する者はいなくなった。

「君、泣いているの」

「…………」

碧い瞳の少年は、人形がよく知る人物の面影を、色濃く残していた。


2022/2/1

鉱玉標本録

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