最後にめぐったのは花降る街だ
「……君は、だれ」
人形の疑似核は半壊していた。記憶装置の中に少年の姿は登録されていない。
「僕はオルハ。君の、……友達だ」
「ともだち」
「そうだよ。ふたりで、長い旅をしてきたんだ」
旅の記憶は残っている。最後にめぐったのは花降る街だ。七色の花びらが地を埋め尽くしていた。
「おぼえてない」
2022/2/2
鉱玉標本録
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