そのまま夜天の闇に溶けてしまいそうで、おそろしかった
蒼い硝子壜が音をたてて割れる。散らばる錠剤。ふるえる指先。満天の星空の下でうずくまる影。声をふりしぼって、彼の名を呼んだ。
「……にいさん」
星をみたいと懇願したのは弟の方だった。ちいさな身体が熱を帯びる。そのまま夜天の闇に溶けてしまいそうで、おそろしかった。
「星を、つかまえたよ」
2022/1/18
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