第3話 初めての魔法特訓

「まずは基本的な魔法について教えようと思います。この世界にいる者なら誰でも使える魔法と限られたものにしか使えない魔法があります。勇者にしか使えない魔法や魔族にしか使えない魔法。そして魔王にしか使えない魔法があります。魔法にも魔法陣を使うものと詠唱があります」

 カインはゆっくりとした口調で俺たちに話をし始めた。

 

 俺は魔法なんて本当に使えるのかと手を見つめた。早く魔法使ってみたいな。

 玲奈は真剣に聞いている様子であった。


「まずは簡単な詠唱を使った魔法から試してみましょう。まずは私がお手本を見せます」

 カインは手に魔力を集中させた。


「えいやっー」

 気合の入った一発。手から出たのは先の尖った光った物体。放たれた先にある的は粉砕された。


 ??ちょっと待てよ。詠唱は?えいやっーが詠唱ってこと?それ言わないとダメなの?


 カインはニコニコとした顔をして俺の真似をして魔法を打てと言わんばかりな顔をしてこちらを見ている。


 なので俺が先に試してみようとした。



ビューン。バンッ!


 

 急に大きな音がした。



 えっ?まだ俺打ってませんけど?

 すると隣で手を前に出し驚いた表情をした玲奈がいた。


「れ、いな?」

 カインがうち放ったのかと思ったがカインは俺の目の前におり、他に魔法を使う人なんていないはず。………あっ。

 俺は嘘だろと思いながら玲奈の方をゆっくりと向いた。


「私魔法使えちゃった!」

 玲奈はきらきらとした眼と笑顔で喜んだ。


 俺より先に魔法使えるようになるんかい!

しかも無詠唱って最初からできすぎやしないか!?詠唱ってなくてもできるんか?

 

 まぁ、、たまたまだよね。っていうか玲奈が使えるなら俺でも使えるってことだよね!

 玲奈に続くように俺は自信に満ちた顔で手に集中し、うとうとした。


ぴゅーん。


 俺が放った魔法は飛んでいったものの的に届かず途中で落下してしまった。

 え、俺、魔法の素質玲奈よりない感じ?


「鍛錬あるのみですな」

 カインは翔をなだめた。


「練習すればできるようになるよ!」

 玲奈は翔を慰めるように言った。


 まぁまだ一回目だしな!できる方がおかしすぎるんだよ。よーし練習頑張るぞ!


「今までに来た魔王様の様子ですと魔王様にしか使えない魔法ならすでに使えると思います」

 カインはこれまでの経験で得た知識を翔に伝えた。


 俺にもすぐに使うことのできる魔法があってよかったー。やっぱ魔王だから敵を一瞬で片付けられるような魔法とかあるのかな。


「どうやったら使えますか?」

 俺は期待の眼差しをカインに向けた。


「確か前回の魔王様が詠唱を書物に綴ったものが城にあったはずです。後で探しておきますね」

 あ、まだ使えない感じね。でも前回の魔王様、グッジョブ!ありがとう!魔王が魔法使えなかったら終わりすぎるわ。

 ってか魔王なのに魔法がまだ使えないでいるなんて大丈夫なのか?

 まあこれから頑張ればいいか。


 色々あったが今日の魔法特訓は終わった。

そして今からはこの世界の状況について知ろうと思う。いわゆる現代でいう日本史や世界史的なやつだ。この世界についてざっくりは理解したがもうちょっと詳しく知らないと魔王としてダメな気がする。


 あれ、俺真面目か?でもやっぱり異世界に実際に来てみたら魔法使えたら楽しいなと思ったのでここにいるのも悪くないなと思い始めている。


 俺たちはお茶を飲み少し休憩してから世界の状況を聞くことにした。





 

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