第2話②

俺たちは部屋にある椅子に座り話を聞き始めた。

「まずここは異世界です。」

うん、知ってる。



「ここは魔王城です。」

 うんさっき聞いた。




「カケル様が魔王でレイナ様が護衛役です。」

 うん、だからここに来たもんね。



「以上です。」

 うん、以上です。えっ?


「他にはなんかないんですか?あの、例えば魔法の使い方とか魔王が何をすれば良いのかとか、この世界の状況とか。」

 聞かされた話は全て把握済みのもので、俺が聞きたかった話の内容は一切無かった。


「私は魔法は基礎的なものしかできないですし、この世界の状況は何となく話せますが、詳しくは話せないですし、私もこの職に就いたのは最近で魔王の仕事をまだ把握しきれてません。」


「ん?何この状況どうしたらいいの?」

 隣にいる玲奈を見ると口をぽかんと開け予想外の状況に追いついていないようだ。

まあ俺もなんだけど。


「皆さんお揃いのようで」

 どうしたら良いものかと頭を悩ませていると、急に白髪頭のお爺さんが声を掛けてきた。


「この方々が魔王様と護衛役の方ですね。私はここの城の魔王様方の身の回りのお世話を致しますカイン・ミクロと申します。カインとお呼びいただいて大丈夫です。何かあれば私にお申し付けください。」

 そう言ってカインさんは俺たちの方へ一礼をしたので俺たちも急いで立って挨拶をした。


「ちょうどよかった。ここでの仕事についてカケル様とレイナ様に説明をしてもらおうと思っていたところなの。」


 ここの説明わかる人がいるなら最初から出してくれよ…。何の情報もなしでこの世界で過ごさないといけないのかと冷や冷やしたじゃないか。


「では私から説明させていただきます。」


 そこでまず説明されたのは三年に一度この世界の王都で勇者召喚が行われているということ。

 

魔王としての仕事は勇者を追い払うということ、魔物たちを統率し王都を襲わせる指示を出すというものであった。

 その指示俺が出さないといけないの?俺ただの高校生だしそんな悪い指示あんまり出したくないんですけど!

 

 玲奈の護衛役は勇者が来た際に戦い俺が死なないように護るという仕事であったり、俺の仕事を支えるというものであった。。その他にも玲奈はたまに面白半分でやってくる人たちを追い払うというものもあった。

 こんな話玲奈大丈夫か?隣にいる玲奈がどんな顔をしているのか、見るのが怖かった。

 

魔法や剣の扱い方もこれから学べるらしいく、そして何より怖いと思ったのはここでの死は元の世界でも死となるということで、今までにも何人か亡くなった人もいるらしい。

 ってか勇者召喚とか本でよく見るけど魔王が無限に湧いてくるとか、この世界一生平和にならんやん。



「あのっ!」

「元の世界に帰れますよね?」

 俺が話に心の中で一人でつっこみをいれていたら玲奈が急に大きな声を出した。たしかにそれは俺も気になっていたところだ。


「そこの部分も校長先生に聞いていらっしゃらないのですか?」


「まぁそれは別として、もちろん帰れます。ここでの時間はあなた方の世界での時間の進みの百分の一ほどとなっていますので学校で勉強をすることもできます。放課や家にいるときにはこちらに来てもらい仕事をしてもらいます。」

 その辺はしっかりしてるんだな。俺の高校生活終わったんかと思ってたわ。

 でも冷静になって考えるみるとこの生活忙しすぎないか。

 玲奈は元の世界に帰れることにホッとしている様子でそんなことは考えていない様子だった。


 そんなこんなで今日から俺たちの異世界生活が始まった。

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