第2話①
ここはどこなのだろうか。魔王の城というにはあまりにも綺麗すぎる部屋が目の前に広がっている。白い壁紙に大きなベッドそれにソファ、天井にはシャンデリアがあり高級感のある空間であった。
何も教えられていないのだが、何から始めればいいのだろうか。そう思い始めた時目の前にモニターみたいなものが現れて校長先生の顔が映し出された。
「伝え忘れていたのだが、その城にはこの世界についてよく知っている管理人がいる。後のことはそちらの世界の者に聞くといい。それと護衛としてもう一人うちの学校からそちらに送っている。」
伝えたいことを言い終えるとすぐにモニターは消えた。最後さらっと大事なことを言っていたが、そんな大事な話を一瞬で終わらせていいものなのだろうか。まさか俺と同じ学校のやつがもう一人いるとは。どんなやつなんだろう。
コンコン
誰かが来たのか部屋のドアが鳴った。
俺は「どうぞ」と返事をした。
カチャとそこに現れたのは長い黒髪をもつ美少女。頭には羊に似たつのが生えている。
あまりにも美しい彼女の姿に俺はつい見惚れてしまった。
「失礼します。私はここの魔王城の管理人のアンネ・デードと申します。あなたが新しい魔王様でいらっしゃいますね。私のことはアンネとお呼びください。」
アンネはハキハキと名乗った。この子が管理人?管理人というのでもう少し大人の方を想像していたのだが、現れたのは俺と同じくらいの歳の女性だった。
「あ、俺は斎藤翔って言います。アンネさん俺はあまりこちらについてよく聞かされていないので詳しく教えていただけると嬉しいです。」
俺は彼女の存在に圧倒されつつも、冷静になり名前を名乗りこの世界について詳しく聞こうとした。
「カケルさんですね。ではお話したいと思うのですが別室にあなたと同じ学校の護衛役の方がいらっしゃり、一緒に説明したいと思うので少しお待ちいただけますか?」
「わかりました。」
果たして護衛役はどんな人なのか。できれば喋りやすい感じの人だったらいいのだが。
俺は初対面の人には人見知りしてしまうタイプで話すことがあまり得意ではなく、話せても会話は長く続かない。
そんなことを頭で考えながら二人が来るのを待っていると、何やら部屋の外で争う声が聞こえてきた。
「どうして私がここで魔王の護衛なんかしないといけないの。怖いよ。」
「それを私に言われましても、、、」
どうやら護衛役の人はこの状況を受け入れていないらしい。俺は間で仲介をしようと近づくとそこには見覚えのある顔が。
「れいな?!」
「かける?翔なの?」
そうなにを隠そうそこにいたのは幼馴染の玲奈だったのだ。同じ学校にいるとは知っていたが、入学式の時は周りに合わせようと必死で同じ学校であることを忘れてしまっていた。
明るい性格で周りにはいつも誰かがいて楽しそうに話をしている。
「もしかして魔王って翔のこと?」
「どうやらそうらしい。俺もさっき聞いたばかりでよくわかんないけど、とりあえずアンネさんの話を聞かないか?」
俺は玲奈を落ち着かせようと提案をした。
「翔が言うなら話は聞いておく。とりあえず話を聞くだけだからね。」
少しほっぺを膨らませ怒ったような口調で玲奈は言った。
「ではこちらで話をさせていただきます。」
俺と玲奈の再会を見守っていたアンネが話を進めた。
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