第11話、お嬢様とデート、やはりお嬢様だった。
さて……今の状況の一言で、説明するとしたら……かなり可愛い美少女と一緒に町の中を歩いている。これってあれだよね? デートって感じじゃないのか?とは言っても、俺の姿……今、姉貴の姿なんだよな……
今の俺の見た目、はい、女の子。
しかも……姉貴の格好をしていたりしている。
一体、周りからどう言った目で見られているんだろうな……?さらに言うと、美少女……カレンが、俺の右腕を組んできて、まるで恋人つなぎみたいになっている事だった。
何でくっついて来るんだ? とは思うのだが……まあ、胸の感触が、右肘に伝わってくるので……ここは何も言わないでおくとしよう……しかし……街中を歩いていると、やたら男の視線を感じるような気がするのは、俺だけか?俺は、姉貴の声で
「カレン、一体、何所に行くつもりなの?」
そう言って見ると
「そうですわね……実は、一度行って見たい場所がありますの、そこに行こうと思いますわ」
行ってみたい所ね……一体何所なのだろうか?
このカレン……見た目、金髪でしかも……縦ロールなのである。お嬢様言葉なので、金持ちの金髪お嬢様なのか? とか思ってしまっていた。そんなカレンと町の中を歩いていき、辿り着いた場所は……一軒の映画館だった。
「ここが、カレンの来たかった場所?」
「はい、そうですわ……えっと……使用人が、教えて下さったのですけど、こういう場所で、特定の人物と仲良くするには、とてもいい場所ですよ? と教えられまして……」
それは、特定の男女と言う事です。お嬢様。
と言うか家に使用人がいるのかよ? やはりお嬢様なのか?ま、間違っちゃいないが、見た目女同士。でも、俺は正真正銘、男なんだが……
どうも、姉貴の事を気に入ってる感じがするし、使用人がいると言う事は、やっぱり金持ちなんだと思う。もし俺が、男だってばれたら……ちょっと、やばいかもな……
「えっと……始めて来るのですけど、ここが映画館と言う物ですわよね?」
「そう」
「え、えっと……ここで、見る映画は恋愛物がいいですと教えてもらいまして……恋愛物を見た方が、いいのでしょうか?」
「えっと、私はあれが見たいんだけど?」
俺が、指差したのが、男達の戦場~レッツ・パーティ~と呼ばれるバトルアクション物だった。これ、すげー気になっていたから、見ようと思ってたんだよな?
「え、えっと……あれですの?」
「うん、あ、だったら私、一人で見ていくけど、カレンは?」
「…………い、一緒に見ますわ!」
なんか、明らかに動揺していた。別に見たくなかったら、見なくてもいいんだけどな?
そう思いながら、受付に行き、カレンが「これ、使えます?」とか、見た事のないカードを出してきやがった。おい、これって……あれか? 何とかカードとか言う奴じゃねーか?
それを出されて、店員もなんか、固まってないか? つーか、映画館でカードを見せられても、困るんじゃね? 受付の人も
「あの、出されても困ります」
……ですよね~……俺がもし受付だったら、カード出されたらかなり困るわな。ま、そうだよな……しゃーない、ここは俺が払うか。
「私が払うよ、それでいいよね」
「え、でも……」
「いいから」
「…………はい」
俺が払う事になって、受付の人もほっと、一安心していた。ま……二人分の料金を払っても、まだ手元には結構残っているので、問題は無いな……うん。チケットを受け取った後、映画館の中に入っていき、座席は、スクリーンからよく見える場所をいただいた。カレンと隣同士に座ると、カレンが
「何か……緊張してきましたわ、初めてですし」
とか言っていた。そっか、初めてか……これが、初体験になるのか……なんかすまないな? 初めて来た映画館で、見る映画がこんなんで? ま、隣にいるカレンの事は、ほっとく事に決めて、映画を楽しむ事にするとするか……数分後、部屋が暗くなり、映画が始まった。
映画は、男達の殺伐とした話で、かなり見ごたえがあり、銃撃シーンや、爆破シーン、あと十八禁すれすれの濃厚な官能シーンもあった。
はっきり言うと……かなり面白い。
上映されると知って、見たかったけど、これは当たりだな?って思ってしまった。
隣のカレンが「きゃ」とか「ひぃーー!!」とかいちいち悲鳴をあげて、こっちに抱きついてくるのが、ちょっとだけうざかった。
二時間の映画が終わり、映画館の外に出ると、カレンが真っ青になっていた。
「こ、怖かったですわ……それに……あ、あれはいいですの?」
「あれって?」
「え、えっと……男女のれ、恋愛シーン……ですわ」
「いいんじゃない? 私は、楽しめたし」
「そ、そうでしたの?」
「ええ」
「……私には、ちょっと理解出来ませんわ……」
いやいや、男女の恋愛って、大体そんなんじゃね?まあ……こんな事を考えても意味がないよな? うん。
映画も見終わったし、これ以上いるとボロが出そうだから
「じゃあ私、帰るから、それじゃあ」
「ま、待って下さい、一緒に食事でも……」
「いいよ、家で食べるから、それじゃあ」
そう言って、俺は逃げるように、家へと戻って行く。家に戻り、即効で自分の部屋に行き、すぐに着替えて、ウィッグを取り外した。
男の姿に戻った後、部屋の中で落ち着いていると、電話がなったので、出てみると
「あ、優希?」
姉貴の声だった。
「姉貴か?」
「ええ、そっちはどう? うまくやってる?」
「まあ、なんとかな……変な奴も多いけど」
「そ、明日の夜に戻ってくるから、明日が最後でいいわよ? それじゃあね」
そう言って電話が切れる。と言う事は……明日で、身代わり生活を終了って事か!
とりあえず……飯食ってから、寝るか……お袋の用意してくれた、夕食を取った後、風呂に入って、寝る事にしたのだった。
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