Tiny Bloody
“悪意の始まり”。
昔々、とある家に兄妹がいました。
二人の親は、女の子を待ち望んでいました。
そのため、生まれた女の子には深い深い愛情を注ぎました。
兄は妹が嫌いでした。
自分から両親を奪った妹が。
だから二人は、目を合わせたこともありませんでした。
妹が3歳になったクリスマスイブに、兄は大好きな車を両親にお願いしました。
6歳の彼はあどけない文字を紙に走らせます。
そしてクリスマスイブ。
大きなツリーの前にあったのは、まだ小さな妹の分だけでした。
嬉しそうに駆け寄る妹。
お人形のプレゼントにはしゃぐ妹。
兄は我慢できませんでした。
グシャッ——。
妹の胸をナイフで刺してしまったのです。
兄は無我夢中でした。
止められませんでした。
何も考えられませんでした。
必死でした。
初めて、決して妹から目を離すことなく。
シャクシャク。
6歳の彼にはやや大きく重たい包丁を振り上げ、何度も沈めていきました。
驚くことに、妹の胸からはキャンディが飛び出してきました。
10、20、30……数えることもできません。
パチパチと弾けながら、真っ赤な飴玉が降り注ぐのです。
地に落ちた無数のキャンディは、みるみるうちに黒を混ぜ始めていきます。
妹は笑っていました。
楽しそうに、嬉しそうに。
不敵に、不気味に。
口元は浮かべたボートのように。
目尻は不釣り合いに垂れ下がって。
虚ろな目が合いました。
怖くなった兄は、その包丁で自分を刺してしまいました。
キャンディまみれの世界の中で。
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