Lovely Bloody

 世界は悪意に満ちていて、


 それは小さなキャンディのようで。


 でも私は、それを悪意だとは思わない。


 だってそれは——私の世界をから。


 ホオズキみたいな、真っ赤な希望。


 10年前の12月24日。


 私は……千潮栗栖は生まれた——。






 グシャッ——。


 胸がくすぐったい。


 弾ける血汐が、闇夜に溶けていく。


 自分の髪の香りが漂って。


 優しいイチゴ味が、私の意識を運んでくれる。


 私を初めて、人。


 たった一人の貴方。


 あの瞬間、私は確かに存在できた。


 10年前のあの日のこと、

 ——憶えてる? 憶えていないかな?


 憶えてくれてると、嬉しいな。


 だって二人が、記念日なんだから。


 貴方のおかげよ。


 ——頬月茜君。


 だからもう一度、何度でも——私を殺して?

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