第24.5話 重体の白雪姫

ドルチェの姿を見たアルマは、すぐに体育倉庫のドアを閉めた。


こんなグロテスクな様子は、一般人には見せられない。


「おい、ドルチェ……その、お前、何、してるんだ?」


アルマの言葉に、ドルチェは反応しない。


「…………この匂い……ここかな」


ドルチェが、笑顔で跳び箱を開ける。

そして、その表情が嘘だったかのように、目を見開く。



「ルー、ク、ス?」


それを聞いたアルマの動きは速かった。


「どういうことだ⁉︎」


アルマは、ドルチェの横から割り込み、跳び箱の中を見た。



いつも笑顔で出かけていく、あの少年が。


「嘘、だろ」


『俺はこんな見た目してるけど、能力に頼らなくても、小さい頃から武道全般習得してるんで、基本的には大丈夫です』と言いながら、完璧に戦っている、強い少年が。


「………………」


『え⁉︎ 今日シチューなんですか⁉︎ よっしゃー、今すぐ宿題終わらせてきます!』なんて言いながら、生きていた少年が。


ルークスが。



「ドルチェ、事情は後で聞く。今は、ちょっと、待ってろ。とりあえず、ここから離れろ」


その言葉を聞いて、ようやく、ドルチェは我に帰ったようだった。


「あ、あ、ああ、あ、あ、ごめん、あ、ああああ、あ、ど、う、どうしよう。またやっちゃっ……た」


吹奏楽部の演奏が聞こえる。

暗い、短調の音楽だ。




緊急転送車両……令和時代における救急車を呼び、ルークスが転送された病院に向かい、病室の前に、2人。

あと5分遅れていたら、危なかったらしい。


「その……さっきは…………本当に、ごめん。怖かっただろうし、びっくりさせたよね」

「いやその……言っちゃ悪いが……正直…………お前のことは、怖いと思ってる」


少しの沈黙が走る。


「わかった。ボク、話すよ。ボク自身のこと」

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