第2.5話 小人たちの会話

人間界ではないどこかに、先程ルークスを守った7人の小人たちの集まる場所がある。


今現在、そこで、いつもは気が強く、決して弱みを見せることのない紫が


「うっ……うぇっ……」


 泣いていた。


「……また、子孫の子が……死んじゃうところだった……ごめんなさい……アタシのせいなのっ……」


紫はうまく話せず、言葉に詰まっている。


「それはそうとむーちゃんは怪我とかしてない?心配だよ」


心配性の緑が真っ先に口を開いた。


「そっ、そうです。わたしだって、ちょっと失敗しちゃったけど、ルークスさんは紫さんのおかげで生きてますから」


泣き虫の水色が、紫と同じように涙をこぼしながら言う。


「うん……うん……」


紫の涙は止まらない。


「ボクが浮かばせたタイミングがグッドじゃなかっただけかもしれない。涙を拭くんだ、お嬢さん。」


青は珍しく自信なさげだ。


「青君もむっちゃんも、大丈夫だよ〜」


そして、いつもの太陽のような笑顔ではなく、優しげな月のような笑みで黄色が言う。


「でもっ……でもでも……」


みんなに励まされてもまだ紫は涙目だ。


「結局何してたんだ?答えてくれれば怒んないから」


赤はいつもの吊り目を封印している。



「最近の子孫の子は、白雪姫の血が薄くなってきたのか、リンゴ一口でアタシたちを全員呼ぶことができなくなってるじゃない? だから、他の子孫の子たちは自分が殺されないために、最初から7回林檎をかじってアタシたちを全員呼んでたでしょ? だけど、ルークスは、ほんとに危なくならないとアタシたちを全員呼ばないのよ。その理由を訊いてたの」



「それで、ルークスはなんて言ってた?」


桃色は、いつも通りの優しい笑顔で紫に尋ねた。


「うん、途中までしか聞けなかったんだけど、ルークスはね、アタシたちが怪我をしたり、危ない目に遭うのが嫌なんだって。」


紫の発言に、小人たちは言葉を失った。



「ボクらはルークスを守るためにいるのに………」

「だよね……ぼくたちを呼べるのは、あの子が最後なのに……」

「クッソ! なんで俺たちを頼ってくれないんだよ!」

「そんなんこと言わないでよ。きっと、僕たちが影から心配してるってことを知ってて、それでも自分は大丈夫だよって言いたいだけなんだよ」

「ルークスは優しいね〜」

「そうですね。わたしたちの大好きだった白雪姫にそっくりです」

「ルークスは、アタシたちの守れる最後の子なのに、優しすぎて死んじゃいそうで怖いわ……」



人間界の、ルークスの様子を見ながら、小人たちは話した。



「大丈夫だよ。ルークスはおっきくなったんだし、僕らがいなくても生きていけるくらい強くなったから」

「そうね……」

「ほら、また新しく友達になる子に出会ったみたいだよ」

「友達……かなぁ?」

「何何……? 天竹サクヤさんって言うんですね。可愛い女の子です」

「オレたちは静かに見守っていよう。ルークスは最後の希望だ」

「うん………」

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