第15話 お隣さんの謎

どうも良く判らないがお隣さんは実は裕福な人らしい。


「えーっと、その、リモートワークで働いてまして」

奥さんはそう言ったがすぐに嘘だと判った。それは手段であって業種ではない。


「まあどうでもいいんだけどね」

別に変な人じゃなさそうだし踏み込み過ぎるのは良くない。


「あうあう」

犬神様もそう言った。何となくだが警戒する必要はないと言う意味に思えた。


こんこん、とノックがした。


「こんにちは」

噂をすればなんとやら。お隣さんがやってきた。


「これもし良ければ…」

と言って牛肉の煮込みを持ってきてくれた。


「おおすごい」

これまた何だかとても美味しそうだった。


「じゃあまた夜一緒に食べましょうよ」

私はそう誘った。奥さんもそう言われると驚きつつも嬉しそうだった。


「よろしいのですか?」

そうしましょうよ。お隣さんなんだし。


「じゃあご飯は炊いておきますね」

さすがにそれくらいはしないとね。


「本当に何から何まですいません」

お隣さんは深々と頭を下げた。


「わん」

犬神様も歓迎しているらしい。


犬神様は福の神かも知れない。少なくとも犬神様本人に都合良く話が進む。

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犬神様の日常 @samayouyoroi @samayouyoroi

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