第11話 お隣さん

お隣さんが越してきた。


「あ、ども」

目が合ったので一応ぺこりとお辞儀をする。


「…お世話になります…」

随分と幸薄そうな奥さんがそう言って頭を下げた。


「こんにちはー」

幼い男の子も頭を下げる。


「あーおう」

犬神様もそう吠えて挨拶した、ら。


「…!」

なんとその奥さんが泣き出したのだ。


「す、すいません…!」

と言いつつもその奥さんは涙が止まらなかった。


「だ、大丈夫ですか?」

私は心配になってそう言った。


「す、すいません大丈夫です…」

いやちっとも大丈夫じゃなさそうだけど。


「す、すいませんお引き止めしちゃって…」

奥さんは本当に申し訳なさそうにそう言って頭を下げた。


どうしようもないのでお大事に、と声をかけて昼の散歩に向かった。

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