第9話 犬神様への報酬

「自分は大変な難儀をした」

そう言わんばかりの態度で報酬を請求する犬神様だった。


「はいはい」

そう言って犬神様が好きなおやつをあげる。


落ち着いて来ると居間のカーペットで仰向けになってぐねぐねした。


「まだ背中が拭ききれてないのかな」

それとも匂いをつけなおしているのかも知れないが。


ぐねぐねしてるとまた立ち上がって前足を私に乗せる。


「もう食べすぎだよ」

そう言って前足を下ろすと今度は逆の前足を乗せてくる。


「……」

それを5回くらい繰り返す。粘り強い神様だ。


「わあーったよ。少しだけだよ」

粘り負けしてまた少しだけおかしを上げた。


それを食べるとまたカーペットに仰向けになってぐねぐねする。


「幸せそうなやつだ」

犬神様に向かってそう言ってみた。


「あーおう」

犬神様は舌を出して楽しそうにぐねぐねし続けた。

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