第8話 犬神様のご入浴
犬神様を風呂に入れるのは大変である。
「へっへっ」
そんな感じの吠え方をする。
「大人しくしているのだ」
私が犬神様にそう言うとしぶしぶ浴室に入っていく。
「ほれほれ逃げるなよ」
犬神様をシャワー攻めにする。
「へっへっ」
犬神様は判っては居てもイヤそうにする。
「大型犬の長毛種だからねえ」
たまにこうして洗わねばならぬのだ。
「ほれシメじゃ、入れい」
そう言って犬神様を持ち上げて浴槽にどぶんとつける。
「へっへっ」
これは意外と気持ちよさそうな顔をする犬神様だった。
「一緒に入れれば楽しそうなんだけどねえ」
しかしそれをすると後始末に難があるのだ。
「さて出るかい?犬神様」
そう言うと器用に浴槽から這い出てくる。さてここからが大変だ。
ぶるぶるぶる!
「うおおおお!」
そうなのだ。犬は水から上がるとブルブルするのだ。
「やーめーてー!」
もう洗面所が水浸しになってしまうのだ。
「タオルが間に合わん!」
これ専用の大型タオルを4枚用意しているがあっという間に水浸しだ。
そうしてある程度水気を払うと居間に猛ダッシュする犬神様だった。
「ああああせめてタオルで拭いてー!」
犬神様は「自分は非常に不当な目にあった」と言わんばかりに暴れまわった。
かわいいと言えばかわいいのだが、大変といえば非常に大変なのである。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます