第3話 犬神様の圧

ううう、もう朝か。


「…おはよー、いぬがみさま…」

うっすらと目を開けると目の前に犬神様が居た。


「…目覚まし時計いらずだねえ」

犬神様は用がある時の圧が凄い。


上半身を起こすとジタバタする犬神様だった。


「…別にいいんだけど、あんた自分一人で散歩いけそうなのにね…」

そう言うと不思議そうに首を傾げる犬神様だった。


「…まるで私を散歩に連れていくのが仕事のようだ…」

どうもそんな気がしてならない。


「わんわん」

犬神様は軽く吠えた。急かすような、肯定するような。


「じゃあいこっか」

私が着替えて準備するとくるくると嬉しそうに回る。


「あんまり早く歩いちゃだめだよー」

犬神様は最初はスローペースなのだがその内にペースを上げるのだ。


「はーしーるーなー」

とは言えどうもそのペースは私の覚醒を見越している気がした。


「ドッグランでもあればいいのに」

そう言って犬神様を見るがこれには反応しなかった。


どうも生活ペースを握っているのは犬神様な気がしてしょうがない。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る