19にゃ にゃんこ。同士を見つける

 

 その部屋は、壁にびっしりと本棚が並べられており、嫌な圧迫感を感じる。

 そして、目の前に座っている男こそがわれの目当ての人物ネート。 


 こいつの第一印象は豚だ。鼻が丸くて、デブ。

 そして、たまに豚のような鳴き声をする。

 体全体をピンク色に塗った時にはおそらくどちらが本物か見分けがつかなくなるだろう。

 もし、この人を見て豚だと思わない人には、これを豚だと言わずしてなにを豚だと言うのかと、大にして言いたい。


 おっと、脱線しそうなので、話を戻す。


 なんたって今、部屋にいる絶対ネートより強そうなむきむきまっちょくんが、われのことを睨んでるんだもん。

 うん。睨まないで。

 われのこと食べても、むきむきになれないよ?

 脂肪がつくだけだよ?


「して、何用だ……。猫………ブヒ」 

「にゃ。われとこのちびっこをこの旅館から出すのにゃ」

「………それは叶わぬ願いだ」


 ブタ……じゃなかった。ネートは重い言葉で言ってきた。


「にゃ!?それはどうゆうことだにゃ……?」

「なに、言葉通りの意味だ。叶わないのだ」


 何言ってるだ。  

 このブタ。


「お前は、ここから出る方法を知ってるのかにゃ?」

「…………知っていても言うわけ無いだろう……ブヒ。ちょっと、雑談をしよう。

 私は最近ハマっていることがあるんだ」


「それが何なんにゃ!」


 バカにしてるのか!!!

 丸焼きにして食べてやろうか……。


「っふふ。いや、なに。巨乳に猫パンチをしたりな?」

「……………にゃに? お前まさか……」

「あぁ……そのまさかだよ」  


 そうか……。


「ぷにぷに道を極めた者なのかにゃ……?」

「「「「は?」」」

「…………いや、そう言うわけでは無くてだね」

「にゃ………。隠さなくても大丈夫だにゃ……。 

 これまで恥ずかしい思いをしたにゃね。でも大丈夫ッ! これから、われと一緒にぷに道を進もうにゃないか!!!」


 っふ。

 われってかっこいい。

 

「魔王様!魔王様!」


 フィレが口早に呼んだ。


「? なんにゃフィレ」

「あの……すごく言いづらいんですけど……」

「なんにゃ。早く言うにゃ。今、われとネートは熱い友情を誓っているんにゃよ?」

「……はい。ネートさんはその……別にその胸? に猫パンチする事が楽しみだと言っているのではなく、ここにアネット様がいると言いたいんじゃないですかね………?」

「…………………そうなのかにゃ?」


 ブタことネートは否定せず、声にも出さず、ただ首を縦に振った。


 

 こんな回りくどい言い方しなくていいと思うんだけど。普通にアネットいるよって言えばいいのに。

 われ、勘違いしてかっこわる……。


「それで、どこにいるのにゃ」

 

 われが聞いたら、ネートはおもむろに椅子から立ち上がり、歩き出した。

 止まった場所は本棚。われから見て右側の本棚。

 そして何を思ったのかネートはいきなりしゃがみ込んだ。こいつとうとうおかしくなったのかと思ったが、一番右下にある本に手を掛け動かした。

 すると本棚はまるでドアのような開き方をし、地下への入り口が出来た。


「「「…………」」」

 

 なにそれ〜!

 かっこいい!!

 なんか秘密基地っぽくていい。めちゃいい。

 魔王城に戻ったらリーラあたりに作ってもらおうかな。


「こい」
















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