14にゃ にゃんこ。毛が逆立つ
「え………?アネットですけど?」
偽物は白々しくも、そう言ってきた。
「嘘をついてることはわかってるにゃ!いつものぷにぷにがないにゃ!!」
「ぷにぷにですか?」
「そうにゃ……。
いつも抱っこした時に感じるあれにゃ!
それが今日はカチカチだにゃ………お前は誰にゃ」
そう。
猫パンチをしたら跳ね返ってくる、夢と希望が詰まっているそれが無かったのだ。
「…………そんなことでバレちゃいましたか。あぁ〜あ失敗だぁ〜。偽物だって気づかれたの初めてだよ」
われのことを腕から降ろし、そいつはまるでわれがいたずらを失敗した時のような顔をしながら言ってきた。
「やっぱりそうだったにゃね。で、お前誰だにゃ」
われがそう問いかけた時、アネットが普段しない気味悪い笑顔をした後、顔が、腕が、足が、体全体が白い霧となり、やがて物体としての形がなくなった。
そして、霧になったそいつは男声で言ってきた。
「あぁ私は死神とでも名乗っておこうかな。ルイーノハンスに行く人を、こうやって夢の中に閉じ込めるって事をしてるんだ」
死神………。
それと、何やらよくわからない地名が出てきた。
夢の中に『閉じ込める』?
「もしわれが、気づかなかったらどうなってたにゃ……?」
「ん?その時はずっと君は夢の中。一生夢から覚めることはなかったかな」
もしあの時の違和感を疑わなかったら、もしかしてわれは今頃………。
「ゴクリ」
自分の毛が逆立っているのがわかる。
『おいクロイ!今こいつの耳動いたぞ!』
『そんなの私も見てるから分かるわよ!』
『そうか……すまん。でもこれはもうすぐって事だな』
『ええ。良かった……』
そうこの女の声はクロイ。
男の声は分からないが。
なんで忘れていたんだろう。
これが死神の力なのだろうか。
「どうやら時間みたいだね。
じゃあね、楽しかったよ。また会いたいな。
まぁ、もう会うことないと思うけど」
視界がぼやけていく。
「おい起きたぞ!」
「だからそんなの私も見てるから分かるわよ!」
「そ、そうだったな。すまん」
…………………
最悪な目覚めだ。
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