13にゃ にゃんこ探偵ミーニャ。


 階段は見えない。

 だが歩ける。

 地面を蹴って歩いている感覚はない。

 あるのは浮遊感。

 足に纏わりついているそれが、空気の上を歩けるようにしているのだろうか。

 

 下は絶対見ない。

 見たら多分、この場所から歩けなくなる。

 最悪、パニックになってこの足のやつが消えて落ちちゃうかもしれない。

 なのでわれはただ、遠くに見えるクロイの背中を追いかけるだけだ。

 

「わっ!」

「みにゃゃゃゃゃ!?!?」


 女の声の奴がわれを驚かせてきた。

 そいつは見覚えのある赤毛で胸に大きな谷ができている人物。

 そしてここにいるはずのない人物。


「アネット?」

「はい!アネットです」


 どうしてここにいるんだろう。

 とゆうかここ、空の上なんだけど。


 アネットの足元を見てみると、われのと同じく白い霧のようなものを纏っている。

 

「どうしてここにいるのにゃ?修行はどうしたんにゃ?」

「今、修行中ですよ?あれ?ミーニャ様も修行しに来たんじゃないんですか?」

「にゃ??修行??

 にゃに言ってんにゃ。

 われ、銀髪女に連れてこられただけにゃ」

「何言ってるんです?

 そんな人、どこにいるんです?」

「にゃ?前にいるにゃ………。

 あれ?どこ行ったにゃ?

 確かにさっきまで前にいたんにゃけど…………」 


 月の方向を見たが、あの色の髪の女はどこにもいなかった。

 

「もう……しっかりしてくださいよ?」

「ごめんにゃ」

「取り敢えず、降りませんか?

 このまま空の上で喋っててもしょうがないですし」

「そうにゃ………」


『しっかりしなさい!』 


「にゃ??」


 知らない女の声がした。

 だが周りにはアネット以外いない。


「どうかしました?」

「…………にゃんかの声がしたにゃ」

「声なんて聞こえるわけないじゃないですか?

 だってここ、海の上ですよ?」

「そう………にゃ。そうだったにゃ」


 辺りは青一色。

 潮の香りが鼻に来る。


 われとアネットは海で遭難していたんだった。

 小舟を作って、それに乗って寝ていたら波に流された。

 なんでこんなこと忘れてたんだろう。


『あぁ〜もぉ!

 ちゃんと言っておけばよかった………ハンテさん、これ………』

『あぁ……もう遅ぇな。

 なんでてめぇちゃんと言わなかったんだ?

 こうなる事ぐらい分かってただろ?』

『だって……………』


 声が聞こえる。

 どこかで聞き覚えのある女の声と男の声。

 男が低い声で威圧しているように聞こえる。

 あたりを見渡すが、もちろんそんな人はいない。

 隣に?を顔に浮かべているアネットがいるだけだ。


「どうしたんです魔王様?」


『なんか声が聞こえるにゃ』と答えようとしたがアネットの言葉に違和感を覚えた。


 いま、われの事を魔王様って呼んだ?

 あのアネットが?

 アネットを見るが、どこか違う気がする。

 なんて言うか………何か大切なところが欠けている気がする。

 なんだこの違和感。

 

「アネット………抱っこするにゃ」


 アネットを確かめるためにも、抱っこを要求した。


「?はい。わかりました」


 普段と変わりない手つきで抱っこされた。


 その時気づいた。

 明らかに違う。

 本物のアネットはそう………。


「お前誰だにゃ」






――――――――――――――――――――――――

★が欲しい………なんつって!

 


 

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