12にゃ にゃんこ。人族の事を勘違いする


 すっかり真っ暗になってしまった。

 出発した時はオレンジ色の光がわれの事を照らしていたが今は、月の光だけが照らしている。

 辺りに何があるか分からないが多分、建物一つない。


「われ、レインの所に帰れると思ってたのに騙されたのにゃ」

「何いってんの?もともとここが目的地なんだから、騙すもなにもないわよ」


 え?

 そんな事われ知らない。


「それならそうとにゃんで言わなかったのにゃ!!

 地獄のような思いをして、なんも無い場所に連れて来られるぐらいにゃら、ベットで寝てたかったにゃ!」

「途中、言ったわよ?聞いてなかったんじゃない?

 まぁ……それはおいといてここに来た理由を話していい?」


 何だこいつ。

 やっぱりわれの部下にして、こき使ってやるか??

 だけどそれはわれ一人ではできない。

 今は従ってやる他ない。


「にゃ……話すのにゃ」

「今から私達が行く場所は天国って呼ばれてる場所なの」

「頭イカれたのかにゃ?」

「イカれてません。聞きたい事があるかも知れないけど今は私の話を聞いて?」

「わかったにゃ」

「っふ。ありがとう。

 話を続けるけど、その場所には自分の足で行かないと行けないの。私は歩いていけるけどあなたはちょっと難しいと思う。だから、まぁ行くための補助輪みたいのを貰いに来たのよ」


 え?

 われ死んじゃうの?

 やだよ?

 天国なんてまだ行きたくないよ?

 

「帰るにゃ………」

「だめよ。死ぬわけじゃないし、これはあなたの部下さんがいるプリータ王国に行くために必要なことなんだから」


 え………。

 そうならそうと早く言えよ。

 そしたらわれ、もっとやる気出るのに。


「もうすぐだから何も聞かないで月を見てて?」

「わかったにゃ」


 われはクロイの膝の上で背中から寝転び、空を見る。

 われのわがままぼでーを触られている気がするが気にしない。肉球をぷにぷに触られている気がするが気にしない。

 

 突然ソレは来た。

 正面に白く霧のようなものが張った。

 それは少しづつうねり、変化していった。

 

 やがて霧は足元に集まってきた。


 ソレはまるで生きているかのように。

 われの4本の足に巻き付くように纏わりついてきた。

 足を横に振っても霧は消えない。

 くっついたのだろうか?


「にゃ?これ、なんにゃ?」

「準備が整ったようね?

 それじゃあ行くわよ」 


 われを地面に座らせクロイは、月へ歩いていった。

 そう。

 歩いていったのだ。

 なにもない空中をまるで階段に登っているかのように。


 人族って空、歩けるの???

 

「ま、待つにゃ………」


 一人になるのが怖かったのもあるが、何より歩いていったらどうなるのか気になり、なにもない空中へ小さい足を踏み入れた。

 

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