魔女編

9にゃ にゃんこの巨人。


「ここはどこだにゃ……」

 

 少女と別れた後、われはてくてくとゴミの中や木が沢山おいてある場所を歩き、でっかい壁に辿り着いた。


 それはもう、高く大きな壁。

 われの爪で攻撃したが、びくともしない。


 この先が気になる。

 こんなにも硬く頑丈な壁の奥には何があるのだと……。

 

 おそらく、どこかに出入り口があると思い、

 われは自由を求め壁に沿って歩き始めた。

 

 たとえ、臭いゴミが置かれていようとも

 たとえ、凶暴な小さい鳥に突つかれても

 前へ進み続けた。



♡★♡★

 


 幾度の困難を乗り越え、われは穴を見つけた。

 それはこの、わがままぼでーがギリギリ入れそうな程の小さな穴。


 われは躊躇しなかった。

 顔から入った。


 自由だ。 

『この壁の先には自由がある………』

 と直感的に思った。

 そして、壁の先へ行けた。

 

 そこは、草原だった。

 あたり一面緑色で、何もなかった。

 否。

 奥の方に、小屋のような建物が見えた。


 われは気づいたら走っていた。


 雑草が生えた地面をにゃんにゃんと。

 風を切り、とにかく無我夢中で走り回った。


 走って


 走って


 走って


 われは力尽きた。


 近くに先程見えた、小屋があった。

 外見は木材でできており、ところどころ色が新しい木材で修復してある。

 とぼとぼと重くなった足で、その小屋へ歩いていく。


 ドアは開いていた。

 頭突きで中に入り、どこか休めそうな場所を探す。

 

 入って左側には、ついさっきまで誰かがいたのだろうか。

 火がたかれており、

 鍋がグツグツと煮えかえっていた。

 恐らくここは調理場。


 右側には本棚が置かれてあった。


 そして右奥にわれが求めていたものがあった。


 それはベット。

 われの毛の色とは真逆の真っ黒な布団。

 いつもわれは白い布団しか使わないのだが、今そんなのどうでもいい。


 われは疲れたのだ。


 ベットに飛び乗り、横になる。

 にゃんにゃんと、われの意識が薄れていった。



♡★♡★



 われが目が覚めた時には部屋にオレンジ色の光が差し込んでいた。

 大きなあくびをし、辺りを見る。

 家の主はまだ帰ってきていないようだ。


 ここの家の主は一体どこに行ったのだろう。

 われがここに来たのは、まだ太陽が上にあったからもう結構経つ。


 相変わらず鍋はまだグツグツと煮えかえっている。

 こんなものを放置したままいなくなるなんてありえない……。

 

 まさか……人攫い!?


 だが、部屋を見渡しその思考を一掃する。

 部屋にある本や紙、更には調味料をもきちんと整理整頓されていたからだ。

 

 だとしたら、料理をしながら家の主はどこかに行ったのだろうか?


 われでも料理しながらどこかに行くなんてしない。      

 料理したことないけど。

 

 この家の主はわれ以下だと、心の中でばかにしていたその時、


「ガチャ……」


 ドアが開けられた。

 部屋に入ってきた人は、

 銀色の髪で、手には箒を持っている女だった。


「誰だにゃ……」

「あなたこそ誰よ」



 


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