5にゃ にゃんこは策士でした。


 私はあの後、魔王様が突然転移したてきた事もあってか王との交渉は順調に進み、輸入が確約された。


 そして、すべてが終わり城を出たときはもう夕方だった。


 ミーニャ様をこんなにも待たせてしまっている。

 そんな私に嫌気を感じつつ、全力で走り宿屋へ向かった。


 ミーニャ様にご報告しようと部屋に入ったが、ベットでミーニャ様は気持ちよさそうに寝ていた。


「お帰りなさいませ。レイン様。

 魔王様はお疲れのようで、寝てしまいました」

「そうか………。リーラ!」


 まぁ。

 こんなにも待たせた自分が悪い。


「はい」

「お前………ちょっと……いや何でもない」


 ここで私が、ミーニャ様への態度を指摘していいのだろうか。

 いや、良くない気がする。

 こいつは、ミーニャ様の専属メイド。

 何か気にくわないことがあったら、ミーニャ様御自身で何とかするだろう。


 そう思い、再指導するのはやめておいた。

 もっとも、疲れていたということもあるが……。


「ミーニャ様のお洋服はあるか?」

「いえ。ございません。

 なにせ急でしたから」

「なら、持ってこい。

 ミーニャ様には私がついておく。

 あと、今晩は魔王城で休め」

「っは。失礼します」


 リーラはそう言い、消えた。

 これは、リーラの魔眼。

 記憶してある場所へと転移できるという、この世で一番貴重な魔眼。

 そして、使った反動はないときた。

 私のとは大違いだ。


「っはぁ〜〜」


 重いため息をつく。


 今日は疲れた。

 普段使わない魔眼を使ったり、変な人族に襲われそうになったり、息が切れそうな王の謁見であったりと、盛り沢山だった。


 私の体が、ミーニャ様と同じくベットに倒れ込んだ。

 勢いよく倒れ込んだせいで、ベットが大きく揺れてしまった。

 起こしてしまったのかと、恐る恐るミーニャ様を見たが、寝ている。


 どうやら大丈夫だったようだ。

 安心したのか

 気が抜けたのか

 意識が段々と薄れていく……。



♡★♡★



 おはようございます。

 ミーニャです。

 朝日で目が覚めました。

 最悪の気分です。


「くわぁ〜……」

 

 いつもなら二度寝するのに、日光のせいで寝れない……。


 イライラ……

 なにかに猫パンチしたい。

 そう思っていたら、目の前に肌色のもちもちしてそうなのがあった。

 これは、やれって言ってるんだよね?

 

「ぺち」


 気づいたら手が出ていた。


 んふ。

 何この感触。

 たのしい。


「ぺちペチベチ」

「あふん!」


 われが楽しくなってきた時

 聞き覚えのある男の声が聞こえた。

 

「ミーニャ様!?っあ、おはようございます」

「おはようにゃ」


 そう言ってきたのは、髪の毛が大爆発しているレイン。


「それで、さっきからしてる猫パンチには一体何の意味が……?」


 眉をひそめながらレインは、われがさっきまで猫パンチをしていたお腹に手を当てながら聞いてきた。

 

「これは……そう!

 運アップにゃ」


 われながら良い言い訳を思いついた。


「運、ですか?」

「そうにゃ。

 われが猫パンチをすることによって、不運の元を追い払ってるのにゃ!」

「な、なんと!!

 私なんかの為にお手を動かしていただき、ありがとうございます」


「なんにゃそれ……。

 そんなわれとレインって、距離とおかったにゃ?」

「い、いえ………」

「われとレインは、一番最初に出会ったんにゃよ?

 なのになんでそんなよそよそしいんだにゃ………」 

「あの……その………」

「われ、悲しいにゃ」


 悲しい

 悲しい

 かなしい

 か、な、し、い。

 その言葉がレインの心の中で繰り返し響いた。


 私……悲しい…………ミーニャ様が…………悲しい…………。

 

「……………レイン!」

 

 レインはミーニャに耳元で叫ばれ、目を覚ました。


「はい………。すいません」

「ふん!しっかりするにゃ!

 われ、ちょっと外に出たいからドアを開けるにゃ」

「?えっと…………。分かりました」


 意味が分からなかったが、レインは言われた通りドアを開けた。

 するとミーニャは


「カテオがわれのことを待っている!!」

 

 意味のわからないことを叫びながら、部屋から出ていった。





 

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