4にゃ にゃんこ軟禁事件。


「ま、魔王……」

「魔王様……なぜここに?」


 そしてリーラ。

 ミーニャ様をだ、だ、抱っこしてるのか……。

 抱っこされてもなお、神々しい毛並み。

 ヒゲ。

 耳。

 さすがミーニャ様。

 

 だが、リーラが気にくわん。

 私はまだ抱っこしたことないのに、あいつはしてる。

 嫉妬心が沸々と湧き上がってきた時に、

 間抜けな声を聞いて目を覚ました。


「んにゃ?…………にゃんだっけ?

 リーラ!なんでわれここに来たんにゃっけ?」

「魔王様の立場についてレイン様にお聞きになるのじゃないですか?」


 リーラが、呆れ顔で言った。


 ミーニャ様に向かってなんだあの態度は……。

 再教育が必要だな。

 

「そうにゃ!われのたちばにゃ!!」

「ちょ、ちょっとお待ちくださいミーニャ様」


 私はミーニャ様が、ここで言ってはいけないようなことを言う気がしたので慌てて止めた。


「にゅ?なんにゃレイン」

「今は王との謁見の最中なので、終わったら相談に乗ります」

「にゃ………わかったにゃ……。リーラ」 


 暗い声でミーニャは言った。

 

 っく!

 ミーニャ様をガッカリさせてしまった……。

 私はなんてことを……。

 ですが少しの辛抱を。

 このレインがカテオの輸入を成功させて見せますので!


「はい」

「われをベットに案内するにゃ」

「は?」


 リーラは予想外の事を言われ、素で答えてしまった。


「眠いにゃ。

 疲れたにゃ。

 お腹減ったにゃ」

「それでしたら、私の宿屋にてお待ち下さい」


「んにゃ?いいベットなのかにゃ?」

「それは着いてからのお楽しみで」


 恐らくミーニャ様に気に入ってもらえるだろう。


「にゃふ(ニヤリ)……。リーラ!行くにゃ!」


 ミーニャは、子供の様に目を輝かせ、


「はい」


 リーラがそう返事をし、部屋から出ていった。



♡★♡★



「にゃほ〜〜。

 誰かの胸と同じようなベットの弾み具合。

 にゃーリングが出来そうなほど、なめらかなシーツ。

 来る者拒まず、去る者を追うような枕のフィット感。

 ……………ここは天国かにゃ?」 

「いえ。レイン様の宿屋です」


「って、ちがうにゃゃゃ!

 なんでわれを軟禁するのにゃ!

 出すにゃ出すにゃ!

 カテオが、われのことを待ってるにゃ」



 こうなった原因は少し前に遡る……


 われとレーナは、城を出てレインの宿屋を目指し歩いている最中だった。(抱っこされながら)


 その時、われは風の流れからあるニオイに気づいた。

 それは………カテオ!!

 われの大好物!


 われがカテオのニオイの方へ行こうと暴れたら、両腕でがっしりと抱っこされ、鼻と目を隠されながら、この部屋に軟禁された。

 ドアを爪でガリガリ引っ掻いたり、リーラに媚を売ったりといろいろ試したが全て無視された。


 そして疲れベットに倒れ込み今に至る。


 どんな苦痛が待っていても、

 われは何としてでもカテオの元へ行く!

 そう決意して5分……。


 ベットで寝ながら諦めかけていた。

 だが、われはまるで神のお告げかのようにふと、

 いいことを思いついた。


 それは、

 ドアを開け脱走する。


 単純だが、ドアノブを引けばわれの勝ち。

 これでカテオはわれのもの。


「にゃふふふ………」


 不気味な笑い声を発しながら立ち上がり、ドアから少し離れた場所へ歩いていく。


 そんな様子をリーラは、椅子に座り本を読みながら横目で見ていた。


 っふ。

 今に見てろ……!

 この、壁を(ドア)乗り越えて

 われは自由になる!

 

 そう決意し、走り出す。

 助走は完璧。

 勢いも完璧。

 いける!!


「にゃ……」


 っく!

 ギリギリ届かなかった……。

 あとにゃんこハンド1個分。

 でも、まだわれは諦めん!


「にゃ……

 にゃ…………

 にゃ……………………

 にゃ…………………………………

 にゃ………………………………………にゃ…」


 数ある挑戦が失敗に終わり、力尽きベットに倒れ込んでしまった。

 

 われは大事なことを忘れていた。

 ドアノブを開けるには、長い足が必要……。

 われの足は……短い……。


 つ、疲れたにゃ………。

 もうわれ、限界。

 

「にゃぁぁぁぁ」


 猫がドアに向かって走り、疲れ果てて悲鳴を上げている姿をリーラは微笑ましく見ていた。


 

 

 

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