第8話 エルザ第三王女!

 半年後……。

 俺たちは、大会への参加のために王都に来ていた。


「へえ。ずいぶんと賑わっているな」


「そうですね。ご主人様、わたしたちとはぐれないように注意してくださいね」


 俺の隣を歩くカリナがそう言う。

 彼女はメイドとして、俺の身の回りの世話をするために同行している。


「……一応私も目を光らせているけど……。クロム坊っちゃんの腕は、既に私を超えている。過度な心配は無用……」


 サーシャがそう言う。

 彼女は俺の護衛として同行している。

 そして、彼女も大会に参加予定だ。


 俺たちはガヤガヤと賑わう表通りを歩いていく。

 ドンッ!

 俺は何かにぶつかった。


「失礼」


 俺はとりあえずそう謝っておく。


「ふん。下賎の者が……。きちんと前を見てあるくのじゃ!」


 ぶつかった相手がそう言う。

 声色に、かなりの侮蔑の感情が込められている。

 伯爵家の跡取り息子である俺に、下賎だと?

 いったい何様だ。


 俺はその声の主に視線を向ける。

 まず目に入ったのは、その爆乳だ。


「こ、これは第三王女殿下! 大変失礼致しました」


 俺はそう謝罪の言葉を口にする。

 まさかこんな大通りで、エルザ第三王女と出くわすとは。

 思ってもみなかった。


「ふん。妾のことを知っておるとはな」


「はい。よく存じ上げております。俺の名前は……」


「下賎の者の名前など興味ない。貴様に割く時間も惜しいのでな。さらばじゃ」


 エルザ第三王女はそう言って、お付きの者とともに去っていった。

 ずいぶんと傲慢なお姫様だ。

 爆乳は魅力的なんだが。

 しかし、あの性格のお姫様を俺のものにして胸を楽しめると考えれば、なおのこと大会にやる気が出るというものだ。

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