第2話 えっ、白血病? 2
X月X日
A医師が紹介してくれた大学病院に行った。
行先は血液内科というところだった。医療に
『次の番号の方は中待合室にお入りください。
XXX、XXX、XXX 』
僕の受付番号はまだだった。まだかなり時間がかかりそうだ。僕は持ってきた本を取り出した。
しばらくすると、診察室の中から女性の看護師さんがでてきた。看護師さんが老夫婦のおじいさんの横に座った。おじいさんに紙を渡して話しかけた。
「〇〇さん。それでは明日の
こつずいせんし検査?
『こつずい』は分かった。骨髄だろう。背骨だ。『せんし』というのはどういう漢字かわからなかったが、看護師さんの話の内容から、おそらく注射針を突き刺すことだと思った。背骨に注射針を突き刺す・・・・僕は震えた。いかにも痛そうだ。そんな検査は嫌だなあ。
おじいさんは淡々と看護師さんの説明を聞いていた。やがて、看護師さんの差し出した紙に署名すると、おばあさんと一緒に帰っていった。
それからしばらくして、壁のモニターに僕の番号が表示された。僕は中待合室に入った。
何人かの人が長椅子に座って診察を待っていた。みんな無言だ。ときおりお母さんと娘らしき女性二人連れが小声で言葉を交わすぐらいだ。積極的に話をしている人は誰もいなかった。
僕が長椅子に座ると眼の前に張り紙がしてあった。
『患者の皆様にお願い
血液内科の患者さんには重篤な方が多数いらっしゃいます。
中待合室で診察を待たれる際には、小さなお子様を遊ばせたりすることはお控えいただくようにお願いします。』
『重篤』という言葉が僕の胸に重くひびいた。
そうか、ここは風邪をひいて診察を受けるというような気軽なところではないんだ。
重ぐるしい空気が僕を支配した。いたたまれなくなるような沈黙があった。できれば、この中待合室から逃げ出したかった。
やがて、診察室から僕の名前が呼ばれた。(つづく)
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