白血病になっちゃいました
永嶋良一
第1話 えっ、白血病? 1
X月X日
今日、血液検査の結果をA医師から聞いた。
A医師は僕の仕事場の近くで開業しているお医者さんだ。付き合いは長い。僕のかかりつけ医といった存在だった。
僕は会社で定期的に健康診断を受けていた。
しかし、A医師が「会社の健康診断とは別に、年に二三回は個人的に血液検査をしておいた方がいいですよ」と言ってくれたので、お言葉に甘えて定期的に有料の血液検査をしてもらっていた。
今日は仕事の空き時間に、その血液検査の結果を聞くためにA医師の診療所を訪問したのだ。
血液検査の結果はある一点を除いて問題はなかった。その一点とは白血球の数だった。A医師が過去の僕の血液検査の結果を見ながら首をひねった。
「白血球の数が通常の半分に減っていますね。3カ月前の血液検査まではずっと白血球数が正常だったのに、たった3カ月でこんなに減少するのはおかしいですね。念のために大学病院で検査してもらったほうがいいでしょう」
そう言ってA医師は僕の家に近い大学病院に電話して予約をとってくれた。さらに、紹介状も書いてくれた。僕はA医師の親切に心から感謝した。
だが、このとき、僕は「白血球が減少している」というA医師の話をそれほど深刻には受け止めていなかった。
僕は今まで大きな病気をしたことはなかった。現在の体調もどうということはなかった。痛いところもない。気になるところもない。というか、今まで自分の身体をそんなに気にしたこと自体が僕にはまるでなかった。
どうせ大学病院で検査してもらったら、どこにも異常が無いことが判明するだけだろう。健康に自信を持っていた僕は安易にそう考えていた。
そして、僕は大学病院に行く日を迎えた。(つづく)
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