『痛いの』の処理方法
あれは私が夫と2歳になる子どもの3人で新しい町に引っ越してきたときの話だ。
その日は町内会の会議があり、ゴミの出し方についてのお知らせがあった。
「最近、ゴミの出し方についてマナーを守っていただけない方がいるようです」
「みんなの町なのだからルールは守ってほしいよな」
「特に『痛いの』の処分方法を把握されていない方がいるようです」
「『痛いの』なんて燃えるゴミなんじゃないの?」
「はい、燃えるゴミです。小さい袋に入れて『痛いの』が漏れないように口をしっかり縛って出してくれればいいだけです」
「風で誰かのところにとんでいっては大変ですからね」
「そういえばこの前、道に『痛いの』が転がっていたっけな」
話を聞いていて私はギクリとした。
先日、子どもとお散歩をしていたとき、子どもが転んで膝を擦りむき『痛いの痛いのとんでいけ』をしたことを思い出したのだ。
前に住んでいた地域では『痛いの』は分別していなかったし、小さいものなら土にかえるから大丈夫だと言われていた。
そう考えると庭で遊んでいたときも何度かとばしてしまったなぁ、これから気を付けなくては。
「ちなみに『痒いの』は燃えないゴミで統一をお願いします」
組長さんがそこまで言うと入り口の扉がカララと開きお隣の川口さんが入ってきた。
「誰ですか!?最近『痛いの』を不法投棄する人は!」
川口さんは全身包帯で、袋に見覚えのある『痛いの』を詰めていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます