②
「近親相姦って犯罪かな?」
何人かの周りの大人がこちらをチラリと見た。でもまたすぐにそれぞれの世界へと戻っていった。
「さあ、知らない」
少し間をおいて芽衣が答えた。
「なんで?お父さんとしたいの?そんなにイケメンだったっけあんたのお父さん?」
「いや、別にそういうことじゃないんだけど。ふと気になってさ」
「一応法律的には大丈夫みたい」
芽衣がスマホを見ながら答える。
「まぁなんにしてもやめときなよ」
「本当に本気じゃないよ」
と答える。
実際のところお父さんとするなんて気持ち悪いし、考えただけで寒気がする。
芽衣とは高校1年生の時に知り合った。家はそれほど近くなかったが最寄駅が同じだったのと2人とも帰宅部だったためほとんど毎日一緒に帰った。朝はなんとなく会えば一緒に行ったりだったがいつしか7時40分に前から3両目の前のドアが2人の待ち合わせ場所になった。
チャラリラチャリラリチャラリラリン
電車がホームに入る音楽。7時42分。今日も1分のずれもなく到着。都会というほどではないこの街ではあるけど朝は15分おきくらいに電車が来る。この駅で降りる人はほとんどないから開くと同時に前から順番に乗り込んでいく。私も前の人に続いて乗り込む。乗り込んで振り向くとホームにまだ芽衣が立っていた。
「芽衣」
その声にビクッとして早足で乗り込む。
「大丈夫?」
「ごめんぼーっとしてた」
「もしかして昨日めっちゃ勉強した?私はもう途中から妄想が膨らんで勉強どころじゃなくなって。もう今回は諦めたわ」
あははと芽衣は笑っていた。
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