010 女勇者が来ないんですけど
「魔王覚悟!」
「うっせぇ、今何時だと思ってんじゃゴルァ!」
半端痴女の戦士が振るってくる剣を魔法障壁ではじき返す。
「あなた少しは真面目に戦おうと思わないんですか! プンプン!」
「真面目にやったらお前らなんか瞬きする間に消滅するわ!」
エセドジッ娘の僧侶の聖属性魔法も魔法障壁ではじき返す。
「その魔法障壁反則なのよ! そんなに頑なに童貞守ってどうすんの!」
「誰が童貞じゃ! お前ら魔王相手に失礼過ぎるだろうが!」
ビッチウィッチの高位爆撃魔法も魔法障壁ではじき返す。
「今日もお仲間の皆さんはお元気ですね」
「私はもう諦めたのですが、何故か3人が諦めてくれなくて」
おいエリーとイケメン勇者!
何寛いでやがる!
紅茶とか飲んでねーで、この暴走3人娘連れてとっとと帰りやがれ!
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
「くそ……今日も座ってるだけの魔王に負けた」
半端痴女が床に落ちた折れた剣を見つめながら肩で息をしている。
「もぉ、なんで魔王の癖に聖属性魔法が効かないんですか!」
僧侶も法力が尽きたようで、真っ白な顔をしている。
若干やつれてるな。
「あなた……そんなにガードが固かったら一生童貞よ!」
なんでビッチウィッチはそんなに俺の性事情が気になるんだ?
まさかビッチルートのフラグが立ちつつあるのか?
「もう満足した? じゃあみんな帰るよ」
「おい勇者! 俺を倒す気も無いくせに何しに毎日来てるんだよ!」
「一応、3人の保護者ということで……」
「だったらちゃんと首に縄付けて見てろよ!」
「まぁまぁ……」
エリーたんもまぁまぁじゃないよ……。
「それでは魔王さん。申し訳ないのですが、いつものように送って頂けますか?」
厚かましいイケメン勇者がそう言った。
まあ、この状態で歩いて帰れってのもちょっと酷いか……。
俺は4人をいつものように希望の町へ送り返してやった。
最近はいっつもこんな感じだ。
まったくどうしてこんなことになったのか……。
まあ、俺のせいなんだけどね。
事の発端は、数日前に俺がイケメン勇者を殺したことから始まる。
あの時は3人とも真っ白になって燃え尽きてしまったんだよね。
アルビノって儚くて綺麗。
はい、流石にやり過ぎた。
エリーたんにもやり過ぎって言われた。
でも、俺を殺しに来てる勇者殺して何が悪いんだろ?
普通魔王ってそういうもんじゃないのか?
なんか、最近周りの魔物たちも丸くなってきた気がする。
で、話を戻すと俺は3人が不憫過ぎたんでイケメン勇者を復活させた。
そしたらイケメン勇者は憑き物が落ちたような顔をしていた。
なんか俺には敵わないことを死んだことで自覚したらしい。
戦士と僧侶が、そんな勇者の姿を見て狼狽えてた。
正直、勇者殺したときよりちょっと面白かった。
まあ、そんなことがあってイケメン勇者が俺を狙うことはなくなった。
代わりに3人娘から襲われる日々が始まった。
なんでもイケメン勇者が変わってしまった原因は俺のせいだと言う。
とんだ濡れ衣だ。
俺は何もしてませんよ。
嘘です……殺しましたね。
復活もさせました……でもそれだけです。
こうして俺の平穏はなくなったわけですねー。
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