第2話

「魔王様、魔王様はどうしてそんなに角が立派なの?」

「それは魔族の王、の一人だからだ。悪魔は角が立派なほど魔力が高い」

「魔王様、魔王様はどうしてそんなに綺麗な銀色の髪の毛をわざわざ巻いているの?」

「それはくせ毛だからだ。いっそのこと巻いてしまえばくせ毛が目立たない」

「魔王様、魔王様はどうしてお姫様みたいな格好をしているの?」

「それは従者の趣味だ。面白いから放置している」

 暇なとき、フレイオスは魔王に質問をして遊んでいる。さすがは魔族の王と言うべきか、その知識量は尋常ではなく、大抵の疑問は即答する。世界のこと、歴史のこと、魔法のこと、戦いのこと、そして性的なことも。

 あまりにもあけすけに言ってくれるので、今日は趣向を変えて魔王自身についての質問をしているのだ。

「こんなにも質問をしたのだ、おぬしにも答えてもらうぞ」

「いいよ」

 そして、次はフレイオスが答える番となった。

「おぬしは、この生活に不満はないのか」

「…ないよ。外に出られない以外はね」

「おぬしは、父に不平を言わぬのか」

「文句はたくさんあるけれど、この生活で満足しているから言わない。最も、聞く耳すらあるのか怪しいけれどね」

「おぬしは、性別を偽り続けて生きるつもりでいるのか」

「…まあね」


「でも、それは魔王様も同じでしょ?」

「これは従者の趣味だがまあ、似たようなものだ」

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