第15話 ~寂~

僕は野良だ


好きに行く

好きに想う


吹っ切れた僕は

主様のおうちに行った

なんとなくだけど

声を掛け辛い


思い切って窓で

鳴いてみた けど

主様は出てこない


ああ 出掛けてるのかな

待っていよう


その日はずっと居なかった


次の日も

主様のおうちにきた


また 出てこない

窓から見える範囲では

主様の姿は見えない

居ないのか・・・


次の日も

その次の日も

その次の次の日も


主様はおうちに居なかった


どうして・・・?

どうして居ないの・・・?


何処に行ったの?

もしかして

中で倒れてる?


どうして!?

返事してよ!?


あまりに鳴くと

迷惑になるかもしれない


僕は思いついて

手土産を窓の前に置いた


次の日

手土産は無くなっていた

ああ、主様は受け取ってる

良かった無事なんだ


でも・・・どうして・・・

居ないの・・・?


どうして

どうして

どうして


僕は

やっと気付いたのに

主様を想いたいって

気付いたのに


主様は居ないんだ・・・


辛いよ

寂しいよ

悲しいよ


僕 主様に会いたいよ・・・


主様 いつもみたいに

足元に居させてよ

たくさんお喋りして

いっぱい笑いたいよ

喋り疲れたら

横で寝させてよ


主様の声を

たくさんたくさん

聞きたいよ


主様・・・


僕は黒猫だ


影に隠れて見えなくても

僕はここにいるんだよ


お願いだから

声を聞かせてよ

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