第14話 ~決~

僕は野良だ


好きに見て

好きに聴く


僕は落ち込んでいた

主様の所へいけず

どうしたらいいか

悩んでばかり


とぼとぼ歩いて

狩りをする気力もない

何をしても面白くない

途方に暮れていた


そんな時だ

クロが歌っている所を

見かけた


クロは最近 冒険を覚えて

いつもの地域ではない所で

歌っている所をよくみかける


クロー!今日も良い声だね!

〈あーん!絶好調よん!〉


クロが羨ましい・・・

〈なんかあったん?〉


主様に会いたいのに

会えないんだ

〈なんでなーん?〉


自信がないから・・・

〈なんでそう思うん?〉


だって僕、人間じゃない

〈当たり前やーん〉

〈でもなんで?〉

〈人間って、猫を好きやろ?〉


いや・・・皆が皆では・・・

〈アタシはアタシを好きでいてくれはる人間〉

〈大事やで?〉


だから羨ましい・・・

〈逆もアリやんな?〉


逆?

〈その人間あんたに好かれて〉

〈悪い気してる?〉


え、わかんない

〈ほなら、嫌いや迷惑や言われるまで〉

〈好きでいたらえーやん〉


・・・え?

〈自由やろそんなもん〉


あ・・・

〈あんたが自由を〉

〈アタシに教えたんやろ〉


そうだね・・・

〈あんたも好きにしたらえーねん〉

〈迷惑かけてないやろ〉


・・・そうか

〈元々野良やのに〉

〈何言うとんの〉


あは そうかぁ

そうだねぇ


勝手に好きで居ればいいのか


そうかぁ

ダメで元々か

僕は好きに

主様を想えばいいのか

手土産だって

邪魔なものじゃないもんね


クロの言う通りだ


僕は黒猫だ


災いにも幸福にもなる

それは僕次第

僕が決めること


主様が窓を開けてくれたら

僕は会いに行こう


窓を開けるのは

いつになるかな


もし開けてくれなくても

僕は主様を勝手に想うよ

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