不遇とは?

アニモン

不遇ノ意地

「まったく、スキルってなんであるんだろ」






16歳の誕生日。

今日は数ある誕生日の中で特に特別な誕生日だ。

何故かって?

【スキル】が分かるからさ。


─この世界では、皆がスキルを持って産まれてくる。

そして16歳の誕生日にスキルが有効化アクティベートされ、ステータスに記載される。─


「よし、それじゃあ。【オープン】!!」


生活する上で言い慣れたステータス開示の言葉。

そこに記されていたスキルは、【不遇】



スキル【不遇】

ステータスを九割、SP に変換。レベルアップする度に再計算され、追加分をSP に変換する。


[スキルレベル×Χ÷自己レベル=SP]

Χには、追加分が入る。



ここで冒頭の言葉だ。

「まったく、スキルってなんであるんだろ」

俺は頭を抱えた。

なんせ長年の夢だったスキル研究関連の仕事に就けそうじゃないからだ。

けど、これは逆にチャンスじゃないか?

ここで得たSPを知力に振ればワンチャンあるか?

そうだな、スキルレベルを上げるとどうなるのかも気になる。


「そうと決まれば、早速レベル上げだな!」


─この世界では、行動一つ一つ経験値が決められており、一年間普通に生活していれば、1レベル上がるように決められている。生活水準が上がれば経験値は減るし、その逆もまたしかり。ちなみにスキル名に沿った行動は経験値が2倍となる。行動以外の場合は、そういう状況にいたった回数、又は時分が経験値の数になる。─


レベル上げのために俺が来たのは、ギルドだ。

ギルドは、すごい昔からある、一種の文化財だな。

主に商業関係を取りまとめてるけど、科学が発展し、銃とか自分の身を危険に晒さず、魔物を倒す道具が沢山開発された今でも、それだけでは勝てない魔物や、行けないところに行くための職業の面倒見てるとこだな。

早速俺は受け付けに行った。


「すみません。探索者登録お願いします」

「わかりました。まず、年齢はおいくつでしょうか?」

「16です」

「ありがとうございます。職業をお伺いしてもよろしいですか?」

「国家大の一年です。休みを貰い、来ました」

「…………わかりました。次にこのプレートに魔力でスキル名を入力してください」


受付の人が少しフリズったけど無視したみたいだ。

さて、幼年校で、腱鞘炎になるほどやった魔書だ。

何故か、魔書はスキル化しなかったが、もしかして年齢とかあるのか?

って、そうだった。

まったく、変な悪癖は変なときに出るな。

気を付けなきゃ。


「出来ました」

「……スキル名に間違いはありませんか?」

「はい」

「……………………わかりました。そのプレートが、登録証明証になります。紛失した場合、実積照合をし、再作成した後に、5000円程お支払いいただきます為、ご注意して下さい。(君の場合、はした金だろうけどね)」

「ありがとうございます」


最後、ゴニョゴニョ言っていたのはなんだろうな?

まぁいいか。

というか、早速狙った状況になったみたいだ。


「おい、ガキ。ちょっと付き合え」


強引に腕を捕まれ、ギルド内施設の訓練場に連れていかれた。


─スキルは、新しく得ることもできる。しかしそれは、その行動の正式名称を知っている上で行わないといけない。例を上げると、魔書だ。これの正式名称は魔力実体化であるため、未だに、人族の取得者がいない。ちなみに、正式名称が忘れ去られ、別の名称が広まった場合、それがスキル名、つまり正式名称となる。─


「ふん、不遇ごときが登録なんかしてんじゃねぇよ。ここはガキの遊ぶ所じゃねぇんだよ」

「すみません」

「てめぇみたいな奴がいるから、ギルド全体の株が下がんだよ」

「すみません」

「おい、やれ」


あっ、別に君たちが心配するようなことは何も起きてないよ?

ほんとにただ説教されただけだから。それもまじで心配してたらしくて、子供が一人で来たもんで、依頼でもすんのかなって思ったらしく、聞き耳立ててたら、登録可能年齢ちょうどのうえ、莫大な金が掛かる大学の生徒だったもんで、ちょっち話を聞こうと思って話しかけてきたらしい。


それで、登録した理由を話したら、状況作りを手伝ってくれた。

ちなみに、よくある自分だけ仕事量が半端ないのに、なんの対価も貰えず働かせ続けられるやつ?まぁ、状況だけととのえれば良いから、結構楽だった。ていうか不遇の定義ってむずくね?そもそも、あるべき立場とか意味わかんねぇ。


─スキル【不遇】がレベルアップしました。─


「ん?どうした?あっ!レベルアップしたのか!」

「そうみたいです。皆さんご協力ありがとうございました!!」

「なんかそう言われると罪悪感がさらにのし掛かるな」

「でも、無理を言ったのは自分でしたし、ご協力いただいたのに、お礼の言葉も無しなのはおかしいですよね?」

「まぁ、次は別の状況がいいがな」

「では、次もよろしくお願いしますね?色々試したいので」

「………………はぁ、まったく少しは躊躇いぐらい覚えろ。まっ、そういうことじゃなくても、頼ってくれれば手伝うからな。じゃあな」

「はい、それでは」


ちなみに、声を掛けられたときに、受付の人は結構ニヤニヤしてたもんであんまし怖くなかった。


あっ、確認しないと。


スキル【不遇】

ステータスを九割、SPに変換。レベルアップする度に再計算され、追加分をSP に変換する。


経験値入手の条件が思考と状況を選択できる。両方を満たすと、3倍になる。


[計算式省略](コピペでもスマホ入力は辛い)



ふむふむ、特にこれといった追加効果はなし、と。

しかしまぁ、なんでこれほどスキルレベルアップを促すのか?

なーんか臭うなぁー。

まぁ現状分かることはナッシングだから、当面は元の目標に沿って行動しよう。



ってことで、やって来ました!スキル技能修練場!

ん?名前からして分かると思うけどスキルレベルを上げるためのところ、なんだが!

探索者じゃないと利用できないし、Lv0以上じゃないと何もできないから、別にさっきのは無駄じゃないぜ。


それと、凄いことに、個室を個人で借りれて、その個室がスキルによって色々変わるんだぜ!

俺の場合は、今では珍しい森の中に、ボロッボロ小屋があった。

ちょっと怖いが、覚悟を決めて行ってみることにした。



━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━



楽しかったー。いやはや、単純作業は楽しいー!

しっかし、まぁ、【不遇】の定義おかしいよね?

最初の検証は、物語とかのシチュを真似たから納得できたが、修練場のは、淡々とボロっちい斧で木を切らないといけないという、なんで俺こんなことしてんのってなってたわ。まぁ、思考的には、不遇なのかなって思うけど、曖昧過ぎじゃない?それと、レベルアップ直前で正気に戻ったせいで、修練場の効果切れたんだよなぁ。どうしよ?


取り敢えず、SP振ろうかな?


「オーブン!じゃなかった【オープン】!」


┉ステータス┉

Lv 17

技能【生活基盤】MAX

スキル【不遇】1

体力 55(その人の生命力を表す)

筋力 30(その人の全身の筋肉の強度や耐久度を表す)

知力 34(その人の思考能力を表す)

才力 70(その人の才能や器用さ、スキルの所持可能数を表す)

┉┉┉┉┉┉┉


才力にも振れたのは予想外だった。ちなみに【生活基盤】は呼吸とか基本的な人間とかの生物がする行動の複合スキルだ。それとSPは全部降ると表示が消える。まるで省エネにしてるみたいだよなー。

もしかしてほんとにしているのか?星の生命力やら寿命やらから使ってこれを表示させている?もしかしたら自分自身から?そもそも空中に実体のないものが浮いているのが可笑しいのでは無いのか?そもそもとして実体のないものをどのように操作している?視界からは決して外れないが邪魔な訳でもない。幻視か?それならばどんな存在が?外星人はもとより神などこのような技術保有はしていなかったはずだ。そして彼らも同じようなものが表示されるということは、他にも上位存在がいるのか?いやそう考えると────


─スキル【超直感】【思考分離】【長考】【常識離脱者】【真理解明】【上位者】【神智】【星命知深】【古代の叡智】【スキル貸与権限】【スキル生成権限】─


考え終わるまで待ってくれるとは、なかなか優しいシステムだな。1つずつ見てくか。


スキル【超直感】

ヒントなしに物事の核心を突く


スキル【思考分離】

並列思考の上位進化

物事を高速かつ複数同時に考え、全てを理解する


スキル【長考】

考えれば考えるだけ頭は冴え渡っていく


スキル【常識離脱者】

常識は疑え。疑問を持たないものは何よりも恐ろしい

あなたは資格を持った


スキル【真理解明】

どんなものにも真理がある。全ては近くに。


スキル【上位者】

スキルは進化した。下位のモノは打ち捨てよ

弱きは強きを挫く


スキル【神智】

そのは知か?智か?稚か?

全てをあなたは知ることができる。


スキル【星命知深】

星の命をあなたは深淵から探り当てた

行動せよ


スキル【古代の叡智】

なぜスキルはあるのだろう

全ては仮想であった。それが現実になるまでは。


スキル【スキル貸与権限】

スキルを貸与できる。レベル付きのスキルは自分より下のレベルまでなら貸与できる。

権限は貸与できない。


スキル【スキル生成権限】

好きなものを創るといい。重複はしない。君は重複した事ないからね。さぁ、早くこちらに来れるといいね。夢が叶うよ?


察しが良い奴はもうわかったろ。全ては仮想現実と呼ばれるものから生まれた、存在しないモノ。何故そうなったかって?


ひとりの狂った科学者が甥たちのため、ひたすらに守り続けてきた倫理観。


これがクソッタレな混沌に壊されたからだ。そして彼は自分諸共スキルシステムの礎になったのさ。つまりこの星、いや宇宙でシステムを停止出来たら、全ては正常に、あるべき姿へ戻るわけだ。


何故そんな事しないといけないかって?命は有限だからだ。宇宙が壊れるのは見たくないだろ?そういう事だ。


つー事で物語はこれでお終いだ。また会えたらいいな。じゃ。

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不遇とは? アニモン @syunou

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